『ワイドナショー』での松本と指原
また、松本人志がそのミソジニーっぷりを公共の電波で露呈させた。『ワイドナショー』(12日放送、フジテレビ)でのことだ。
きっかけは、芸能界での将来に不安があるかと問われた指原莉乃が不安があると言って、こんな話を切り出したことだった。
「貯蓄派なので貯めてはいるんですけど、考えてみれば男性のタレントさんとか芸人さんはずっとテレビに一線にいるような感じがするのに、女性はやっぱ移り変わりが激しいのか、まあ結婚とかそれぞれ事情もあると思いますが、そんなにずっといるイメージがなくて」
東野幸治から「あとどれくらい(テレビに)出られるとか、自分のなかで計算みたいなのあるんですか?」などと突っ込まれると、指原はこう答えた。
「そのときの変動によりません? なんか好きな人ができて、それが『おめでとう』って言われるようなやつだったら、なんかまた5年くらい延びる気がするし」
これを受けて長嶋一茂が「女性のタレントでね、それまで自由奔放にしゃべってた方が、好きな人ができたりとかすると……」と語り始めると、松本人志が我が意を得たりと、こう言い放ったのだ。
「すっげえダメになるでしょ」
これには指原が「ダメになるっていう言い方、すごいイヤなんですけど」と突っ込むのだが、松本はおかまいなし。あえて蔑むような表情・口ぶりでこう主張し続けたのだ。
「全然おもんなくなる」
「なんなんだろうなあ、あれ。男はあまりないのよ、それ」
指原は男性より女性のほうが芸能界で一線にい続けることが難しいのではないかという分析したうえ、恋愛・結婚などもタレントの商品価値に影響を与えると語っただけなのに、好きな人ができると女性タレントはダメになると、あたかもそれが女性の問題であるかのように決めつけたのだ。
何をすり替えているのか、という話だが、これには指原がめずらしく食い下がって、こう松本に反論した。
「(女性は好きな人ができると)おもしろくなくなるとか攻めなくなると言われるじゃないですか、松本さん。でも松本さんだってお子さんから砂場に埋められたどうこうみたいなツイッターに載せてるじゃないですか。そう思ってる人もいるかもしれないですよ?」
「男性も女性も一緒ですよ。変わっちゃうんですよ、それは年齢とともに。結婚とかじゃなくて」
この指原の指摘はもっともだ。結婚や年齢によって変わるのは男女関係ない。というか、結婚によっておもしろくなくなるとしたら、松本人志こそその典型だろう。
かつては、すべてをストイックにお笑いに捧げ、刃物のように尖り、すべての価値を転倒させるような過激なお笑いを追及していた松本だが、結婚した頃から一変した。スポーツ嫌いを公言していたのに、体を鍛えはじめ、自分の権威や既得権益を守ることに躍起になり、権力に迎合するような保守的な発言を連発する……。
松本の恩人であるプロデューサーの田中文夫氏も、「週刊金曜日」に寄せた手記で、松本の変節をこう憂いていた。
〈ある時ハッと気がついたら松ちゃんが別人に変わっていました。金髪で筋肉ムキムキのマッチョマンになっていました。あれぇ、何かおかしいなぁ、見かけも変わったけど考え方も人柄も変わってしまったのではないだろうか〉
〈確かに松ちゃんは昔から「芸人が体を鍛えてどないするねん」とか「映画は撮らない」とか「できちゃった婚はしない」とかいろんなことを言っていましたが、今は全部その反対です。〉
〈今は何がどうなっているのですか?『ワイドナショー』って何ですかそれ。「コメンテーター」って何のつもりですか。いったい何事が起こったのですか。天才のやることとはどうしても思えない〉