報道機関である民放テレビ局が政府の言い分をそのまま垂れ流す「政府広報」の問題は指摘されてきたことだが、最初に「これはCMです」と一応注意を入れながらも、人気バラエティ番組の地続きと見紛うスタイルで、さらにはタレントではなく局アナを使ってマイナンバーの広報をおこなうというのは、はっきり言ってテレビ朝日の見識を疑わずにいられない。しかも、このCMでは、マイナンバーカードをめぐって指摘されている個人情報の流出を弘中アナが「ご安心を!」などと打ち消してさえいる。
先日も本サイトでは、安倍政権下で「政府広報」の費用が民主党政権時の2倍にあたる約80億円まで膨れ上がり、その約半分が電通に流れていることを指摘したが(https://lite-ra.com/2020/06/post-5460.html)、「マイナンバーカードの取得促進」の広報についても、今年3月31日に電通が1億4998万5000円で随意契約している。だが、こうしたかたちで安倍政権に手懐けられているのは電通だけではない。広告収入が落ちつづけている民放テレビ局やラジオ局にとっても「政府広報」は重要な収入源のひとつとなり、マスコミの最大の責務でもある「権力に対するチェック機能」が奪われてきているのだ。
新型コロナで国民への給付が遅れているのは、ひとえに安倍政権の“国民生活の軽視”がある。にもかかわらず、それをマイナンバーカードと口座の紐付け義務化に利用し、さらには国民の税金を使ってメディアに広告を打ち、メディアはアピールを垂れ流す……。こうやって、国民監視のシステムが着々とつくられようとしているのである。
(編集部)
最終更新:2020.06.13 08:19