しかも、吉本興業が「嘘と事実隠蔽」を行った背景には、宮迫や亮らが参加した反社グループに、吉本が会社として関与していたという問題があった。
これも、宮迫らが会見で明かしたのだが、宮迫らは入江から反社会勢力のフロント企業のパーティ参加を持ちかけられた際、「吉本のイベントのスポンサーだから大丈夫」と言われていた。
これについて、吉本の岡本昭彦社長は例の会見で、「自社主催のイベントではないためチェックできなかった」などと言い訳していたが、イベントのスポンサーのひとつが特殊詐欺グループのフロント企業だったことは認めざるをえなかった。吉本は明らかに反社グループのスポンサーのイベントにタレントを派遣し、ビジネスをしていたのだ。宮迫たちが糾弾されるなら、吉本だって同罪。いや、それどころか、宮迫たちが吉本の関係したイベントのスポンサーになっていることを知って、「大丈夫だ」と考え、パーティに出かけたのだとしたら、それこそ、今回の問題の大元は吉本興業という会社ということになる。
しかも、吉本興業はただの芸人にすぎない宮迫らと違って、安倍政権や維新と癒着し、公的な仕事を数多く受注してきた。法務省のPR、大阪サミットの交通規制PR、大阪万博誘致アンバサダー、さらにNTTと共同で行う教育事業には官民ファンド「クールジャパン機構」が最大100億円の出資を受けていた。そんな企業が反社会勢力の絡む仕事を引き受け、芸人の隠蔽を後押ししていたのだ。
そうした点から考えても、この問題で宮迫などよりもっと糾弾されなければならないのは吉本興業という会社であり、責任を取って辞めなければならなかったのは、吉本の大崎洋会長と岡本昭彦社長だったのである。
ところが、結果は完全に逆になってしまった。吉本は大崎会長も岡本社長もなった責任を取らず、幹部の椅子に居座ったままなのに、いつのまにか批判は立ち消え。誰も吉本のことを批判しなくなったどころか、いつのまにか“被害者”のようになってしまった。
そして、宮迫への批判は再び高まり、今回の状況を見てもわかるようにことあるごとに激しい非難を浴び、復帰もままならない状態だ。
いったいなぜこんなことになってしまったのか。そこには2つの要因がある。ひとつは、マスコミと吉本興業の癒着だ。ロンブー亮が会見で岡本社長の「在京5社・在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫」という言葉を明かしたが、テレビ局と吉本は一体関係。スポーツ紙もすべて、吉本興業の現在の上層部とズブズブに癒着して、意のままに操れる。
これらのマスコミは、宮迫と亮の会見直後や、岡本社長の会見直後こそ、世論の目を恐れて、吉本をかばうトーンは抑えめだったが、ある時期から吉本の意を受けて一気に批判封じ、現体制擁護に動き始めた。
この流れの中で、スケープゴートにされたのが宮迫だった。スポーツ紙などには、明らかに吉本のリークだと思われる宮迫バッシング記事が載りはじめ、それと軌を一にするように、ワイドショーでは、コメンテーターたちが一斉に「宮迫らが嘘をついたのが問題の始まり」「問題を吐き違えてはいけない」などと宮迫をスケープゴートにし始めた。