「反省」「改革」と言いながら、結局、誰も責任を取らず、逆に会社側に都合のいい制度を導入しようとしている吉本興業。呆れるしかない厚顔ぶりだが、しかし、これ、何かと似ていないか。
そう、森友、加計、公文書改ざんなど、様々な不祥事を惹き起しながら、政権幹部が誰一人辞任せず、改革と称して「文書を作成しない」「文書を即廃棄する」という自分たちに都合のいいルールを作ってしまった安倍政権と、やり口がそっくりなのだ。
しかし、考えてみれば、それも当然なのかもしれない。というのも、今回、吉本のシナリオに沿って、骨抜き改革案を発表した経営アドバイザリー委員会のメンバーには、安倍政権の御用学者・ブレーンや元忖度官僚が顔を揃えているからだ。
その代表的な存在が、アドバイザリー委員会の座長である川上和久・国際医療福祉大教授だ。
川上氏といえば、政治心理学者という肩書を持つが、「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会」に八木秀次や加計孝太郎とともに名を連ね、育鵬社の「公民教科書編集会議」座長も務める、安倍政権の極右仲間。
しかも川上氏は、昨年12月、自民党憲法改正推進本部の会合に招かれ、「憲法改正国民投票の最大の壁とは」というテーマでヒアリングに応じた際、投票に向けて改憲派も反対派を敵と位置付け、名指しで批判するなどネガティブキャンペーンが必要だと説いたという。会合で配られた資料には「改憲派自身も何らかの『敵』を作り、国民の不安、怒りなどを覚醒させるしか方法はない?」などと記されていた。
ようするに、吉本興業が「改革」のために発足させた委員会の責任者は、自民党に“護憲派を敵とみなして攻撃を仕掛けろ”などと分断を煽っていた人物だったのだ。吉本はこの間、裏で御用マスコミに宮迫や亮、加藤らのネガティブ情報をしきりにリーク、会社側芸人vs反会社側芸人の分断を深めてきたが、もしかしたら川上氏のこの時の意見を参考にしていたのか、と勘ぐりたくなるではないか。