さらに、秋元氏は今回の暴行事件についても、発生当初から報告を受けていた可能性が高い。それは、1月12日にニコニコ生放送で放送された『直撃!週刊文春ライブ』で公開された、一通のメールだ。これは山口真帆への暴行事件が起こった際に今村劇場支配人がメンバーに送ったとされるメールなのだが、そのなかでは、こんな一文も登場するのだ。
〈秋元さん、伸介さん、AKS、AKS弁護士への報告もしてあります。〉
このメールが事実であれば、秋元氏は暴行事件の報告を受けながら、それを黙って見ていたことになる。いや、今村氏や松村氏との関係を考えれば、秋元氏が運営の対応を決めていた可能性だってあるだろう。
しかも、メールに登場する「伸介さん」というのは、秋元氏の実弟であり、AKBグループのスキャンダル対策を率先しておこなってきた人物で、主に週刊誌やスポーツ紙を担当。カレンダーやパンフレット、公式本などといった“利権”を各出版社に分配することでメディアを手なづけてきたことで知られている。
いずれにしても、これだけの関与、疑惑があって、「秋元さんは関係ない」なんてありえないだろう。秋元氏もまた、公の席で暴力事件の隠蔽について釈明し、謝罪する責任があるのは当たり前ではないか。
また、秋元氏が本当にグループの運営にはノータッチだったとしても(メンバーの人事やスキャンダル対応まで口を出している以上、それはありえないが)、秋元氏には問われるべきもう一つの責任がある。それは「握手会ビジネス」を生み出したという責任だ。
すでにメディアやネットでも指摘されているが、今回の暴行事件の根本には「握手会ビジネス」がある。AKB48グループのメンバーは、個別握手会の売上や総選挙の順位といった指標で常に激しい競争に晒されており、握手券を数十枚数百枚単位で買ってくれたり選挙で大量に投票してくれるファンを無下にできない状況がある。
そういった過当競争を強いられることでメンバー間にも分断が起こる。私的交流を「営業」ツールとして使用し、握手券売上や選挙の順位を上げることをめぐっての分断だ。表向きのルール上は禁止されているにも関わらず実際は横行していたこれらの「営業」に関してメンバー間で諍いが起こり、それが暴行事件の背景となっているのはおそらく間違いのないところである。
そして、メンバーに過酷な状況を強いるこの歪なシステムを生み出し、いまも、そのシステムによってCDを大量に売り、甘い汁を吸い続けているのが、他ならぬ秋元氏なのだ。少なくとも、この問題については、秋元氏に説明責任がある。