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ピエール瀧報道で『バイキング』坂上忍「ドミューン知らない」だけが問題じゃない! 自分を棚に上げ逸脱を許さない道徳ファシズム

 たとえば、有名なのが、1995年に飲酒当て逃げ事件で逮捕された一件だ。坂上はこのとき、友人の俳優宅でのパーティで酔っ払っていたにもかかわらず、当時、噂になっていた女優の山本未来と車で帰宅。途中で道路脇の電柱に激突し、電柱を根元から折ってしまうという交通事故を起こした。

 しかも、坂上は大破した車に再び乗り込んで逃走を図り、パトカーと20分間にわたってカーチェイスを繰り広げ、酒気帯び運転で警視庁北沢警察署に現行犯逮捕されたのだ。

 言っておくが、これは坂上の不祥事を責めているのではない。逆だ。

 かつて逸脱していた自分を棚に上げて、いま逸脱している者を糾弾していることこそ、退廃にほかならない。自らが保身のために変節・退廃するだけなら勝手にしてくれればいいが、その自分の変節を正当化したいがために、坂上は他人の逸脱を糾弾せずにはいられないのではないか。

 1984年に発行された初の著書『地球に落ちてしまった忍』(小学館)で、当時17歳の坂上は、相米慎二監督に言われた言葉を紹介しながら〈宇宙人でもいいさ〉と異端であり続けることを自負すらしている。さらにアイドルが自分の意志をもっていないことに憤慨して〈坂上流にいえば、芸能界の小学生だ!〉と罵倒した後に、〈ちなみにぼくのしたっているアイドルはデビッド・ボウイです〉と綴っている。タイトルの『地球に落ちてしまった忍』もおそらく、デヴィッド・ボウイの主演映画『地球に落ちて来た男』から取ったものだろう。これほど坂上がリスペクトするデヴィッド・ボウイも薬物依存であったことは有名な話だ。

 いまの坂上にとっては、こういうのもすべて若気の至りなのだろうか。

『バイキング』の全曜日MCを始める少し前の、2014年『FNSうたの夏まつり』(フジテレビ)に坂上が出演した際は、そのデヴィッド・ボウイの「Let's Dance」をいたって真面目に歌って視聴者を大いに困惑させたが、それも坂上が17歳の心を黒歴史化などさせずに保っている証拠かとも思っていたのだが……。

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