外務省HP『海外安全情報」から
昨日、韓国では「三・一独立運動」から100周年を迎え、ソウルで政府主催の記念式典が催され、各地でも集会やデモがおこなわれた。
「三・一独立運動」とは、1919年に朝鮮半島で起こった日本による植民地支配に抵抗して起きた運動のこと。レーダー照射問題以降、“嫌韓”ムードを必死に煽る日本政府だが、この独立運動記念日に際しても、外務省は韓国への渡航について、こんな「注意喚起」情報を出した。
〈韓国への滞在・渡航を予定している方や滞在中の方は,最新の情報に注意し,デモ等が行われている場所には近づかない等慎重に行動し,無用のトラブルに巻き込まれることのないようご注意ください〉
さらに、この外務省の「注意喚起」に対して、自民党の小野田紀美・参院議員は、こんな投稿をおこなった。
〈外務省から、韓国に渡航する方への注意喚起が出ております。遅きに失するうえに甘い…危険情報のレベルを1、2に上げるべきだという意見も外交部会でありましたが、結局それはなされず。渡航される方、よくよくご自身の安全を考えて下さい。〉
「注意喚起が甘い」「安全を考えて」という言葉には物々しさしかないが、そもそも外務省による危険情報のレベル2といえば「不要不急の渡航は止めてください」というもの。現在は、武装組織によるテロがたびたび発生しているシリアとの国境にも近いトルコの一部地域や、衝突が散発的に発生しているというレバノンの一部地域などに発出されているレベルだ。そのような地域と同様に、韓国への不要不急の渡航は止めろ、と主張する自民党議員がいたというのである。客観的な情勢分析でなく差別的感情で危険情報を上げるなど、まともな近代国家とはとても思えない。
しかも、こうした主張に丸乗りしたのが、メディアだ。
たとえば、昨日1日放送の『とくダネ!』(フジテレビ)では、トップから「きょう“反日”1万人集会 渡航者に注意喚起も」とテロップを出して報道。式典準備中の広場から中継までおこなって「韓国国内では日本への批判がさらに高まることが予想」と伝え、司会の小倉智昭もこう発言した。
「旅行で韓国、ソウルとかにお出かけの方もいらっしゃると思うんですが、きょう3月1日という日はちょっと心配」
「これを機に、また反日の気運が高まったりすると日韓関係もややこしくなりますからねえ。なるべく穏やかにしてほしいと思いますが」
ほかのワイドショーでも文在寅大統領の「親日清算」という言葉を取り上げ、「親日」というのは韓国では「大日本帝国の植民地支配に協力した者」を意味する用語であるにもかかわらず、あたかも現在の日本と友好関係を否定したかのように、誤用・混同し日韓の対立を煽り立てていた。
独立運動記念日に韓国中が「反日」を叫び、日本人が危険に晒される可能性が高い。安倍政権とメディアは、そう煽りに煽ったのである。
果たして日本政府やメディアが主張するように、独立運動記念日の3月1日、韓国で日本人は危険な目に遭ってしまうのか──。多くの人が注目するなか、Twitter上では、こんなハッシュタグが登場した。
「#在韓日本人現地レポ2019年三一節その時私は」
結果、Twitter上には、このハッシュタグをつけた、韓国に住む日本人や韓国を旅行中の人たちが「現地レポート」を続々と投稿。
そして、そこで伝えられたのは、「韓国が危険」「反日ムード高まる」「日本人は身の安全を守って」という安倍政権やメディアが喧伝した空気とはまったく違う韓国の街の様子と、旅行や韓国ライフを楽しむツイートの数々だった。