渡邉美樹公式サイトより
ワタミグループ創業者で自民党の渡邉美樹参院議員が、13日の参院予算委員会の公聴会で意見を述べた過労死遺族を前に「国会の議論を聞いていると働くことが悪いことであるかのように聞こえる。お話を聞いていますと、週休7日が人間にとって幸せなのかと聞こえてきます」と発言した問題。発言の撤回を求めた遺族側に対し、渡邉議員は16日になって「傷つけることになり申し訳ありませんでした」と頭を下げたという。
大事な家族を過労で亡くしている家族に対し、言ってもないことを無理やり捻じ曲げて攻撃したのだから謝罪は当たり前だ。だが、問題は「週休7日が人間にとって幸せなのか」という発言だけではない。渡邉議員の発言は徹頭徹尾ひどいものだった。
まず、念のため経過を説明しておくと、この公聴会は安倍政権の「働き方改革」と過労死をテーマにしたもの。
渡邉議員の質問の前には、株式会社日本総合研究所理事の山田久氏が専門家として高度プロフェッショナル制や裁量労働制の問題点を指摘、次に小児科医だった夫を過労自殺で亡くした「東京過労死を考える家族の会」代表の中原のり子氏が涙ながらに「こんなに苦しい思いをするのは、もう私たちだけでやめていただきたいのです」と語り、「働き方改革」の本質と過労死の防止を訴えている。しかし、渡邉氏にとって2人の意見など馬耳東風だったのだろう。その直後に質問に立った渡邉氏は、過労死というテーマの深刻性とは不釣り合いなほど、にこやかな笑顔でこう切り出したのだ。
「私も10年前に愛する社員を亡くしている経営者でございます。過労死のない社会をなんとしても実現したいと、そのように私も考えております」
まるで自分が被害者のような態度、物言いで、厚顔無恥という言葉は渡邉氏のためにあるのではないかとさえ思うが、さらに渡邉議員はそれまで意見を述べてきた2人の公述人に対して、挑発するかのような質問を繰り広げていったのである。