自民党HPより
現在、日本政府があらたに「駆けつけ警護」の任務を付与しようとしている、自衛隊の南スーダンPKO。これをめぐり、12日の衆院予算委でまたもや安倍首相の“珍答弁”が飛び出した。
「南スーダンは、たとえばわれわれがいまいる永田町と比べればはるかに危険、危険な場所であってですね。危険な場所であるからこそ自衛隊が任務を負って、武器も携行して現地でPKOを行っているところでございます」
“南スーダンは永田町より危険”──。安倍首相のトンデモ発言の数々を取り上げてきた本サイトですら、この答弁にはさすがに一瞬思考が停止してしまった。ようするに安倍首相は、“永田町よりは危険だろうが、それくらいでなぜ「駆けつけ警護」をやめる必要があるんだ”と言いたいらしい。
そもそも、「駆けつけ警護」とは、自衛隊が現地の武装勢力などから直接攻撃を受けなくとも、国連やNGO関係者が襲撃された際に現場に駆けつけて救助するというもので、武器使用が認められる。これまで、日本政府は9条が禁じる武力行使にあたるとして「駆けつけ警護」を認めてこなかったが、安倍政権は新安保関連法の成立によってこれを可能とした。
安倍政権がその“先例”にしたい舞台が南スーダンなわけだ。しかし、南スーダンは政府軍と反政府軍の対立によって緊張状態にあり、停戦も事実上崩壊している。今年7月には首都ジュバで大規模な戦闘が起き、民間人を含めて200名以上が死亡。また、AFP通信などによれば、今月14日から15日にかけても、南スーダン北部の都市マラカル近郊で政府軍と反政府軍との間で激しい戦闘が発生し、少なくとも60人が死亡したとみられている。
にもかかわらず、安倍政権は「南スーダンは安定している」と嘯いて譲らない。今月8日、ジュバを視察した稲田朋美防衛相はわずか7時間の滞在にもかかわらず「状況は落ち着いている」と述べ、11日の衆院予算委員会でも7月の大規模戦闘を“戦闘ではなく衝突”と言い換えた。