女優の田中美佐子と結婚し、「格差婚」と騒がれた芸人の深沢邦之は、以前、こんな話をしていた。いわく、田中から「結婚しよう」とプロポーズを受けたとき、自分の経済力のなさから返事を保留した。だが、1年経っても収入が安定しなかったところ、田中から「芸能界は厳しいから、早々変わらない」と言われ、再び「どうする?」とプロポーズされたのだ、と。つまり田中は宇多田と同じように、深沢に経済力など求めていなかったのだ。結婚後も田中と深沢は何度となく経済格差を理由にして離婚寸前などと報じられてきたが、田中は今年7月に出演した『メレンゲの気持ち』(日本テレビ)で、こう語っていた。「ずっと仮面夫婦と言われつづけてきたから、ギャグにしてたの。ふたりで。『私たちは仮面夫婦です』って」。ふたりは今年で結婚21年目を迎える。
宇多田の報道では、まるで男が働かなくては女は不幸せだと言わんばかりだったが、こうした報じられ方がされてしまうのは、前述したようにこの社会に原因がある。今回、宇多田は〈男の子って大変ね〉と述べたが、男性からも、女性への制度的な不平等を理解した上で、男に馬車馬のように働くことを強制するような古い価値観に対して声を上げてほしいと思う。
(田岡 尼)
最終更新:2017.11.24 06:38