「ViVi」(講談社)2015年4月号
〈今、モテ男性有名人が続々結婚している相手として話題の“プロ彼女”。男性の要求をすべて飲みとことん尽くすのが特徴。なるのは大変そうだけど、なれば一流の男をGETできる!?〉
このような煽りが、女性ファッション誌「ViVi」(講談社)4月号に躍った。企画タイトルは「なれるものなら“プロ彼女”!!」。──ここで「あれ?」と感じた読者も少なからずいるはず。そう、本サイトでも以前指摘したように、「プロ彼女」という言葉は、もともとはエッセイストの能町みね子がロンドンブーツ1号2号・田村淳の結婚相手について〈「彼女は一般女性というよりはプロの女性だろう」みたいに書いた〉ことがきっかけで生まれた言葉だ。この皮肉が込められた言葉を、「女性自身」(光文社)が西島秀俊の結婚と絡めて“男に尽くすプロ級の彼女”という違う意味で使用。そして今回、「ViVi」もまた誤用しているのだ。
しかも「ViVi」が悪質なのは、「プロ彼女」の定義を“あえて間違って”説明している点。なんと、わざわざ上述した能町がこの言葉を生んだ経緯を書きつつ、以下のように開き直っている。
〈その後、西島秀俊さんの結婚についての週刊誌記事の解釈で語意が変わり、西島秀俊さんの彼女に求める条件が「男の浮気は許す」、「メールの返信がなくても気にしない」など極端に厳しかったことから、次第に“プロ彼女”とは、これらをクリアした女性という意味に変わっていった。※ViViの記事も後者の定義で作成しています。〉
いやいや、意味が変わっていったんじゃなくて、意図的に意味を変えているのは「ViVi」編集部じゃん!……とツッコまずにいられないが、このふてぶてしい態度にキレたのは、もちろん生みの親たる能町である。
能町は「週刊文春」(文藝春秋)の連載で、「ViVi」編集部から取材依頼があったことを明かし、〈私はこの単語を褒め言葉として広める気はないので(取材依頼を)断ったのです。だから、あとで私に文句を言われないようにやたら定義が丁寧に書いてあるんでしょう〉と説明。〈言うまでもないけど、私は皮肉で言ってたのです。今どき召し使いに徹して芸能人の妻という名誉や財産を手にするなんて「プロ」の女だ、と〉〈皮肉な言葉が褒め言葉として使われているのが悔しい。(中略)これでは私の生み出した言葉が古すぎる価値観の女を再生産することになってしまう〉と憤慨している。
この能町の怒りはもっともである。というのも、問題の「ViVi」の記事は案の定、炎上したのだが、それは「プロ彼女」の誤用が理由ではなく、内容があまりにひどいシロモノだったからだ。