そして、テレビ朝日の看板番組『報ステ』で堂々と政府の対応に問題アリと批判した古賀氏は番組を“降ろされる”ことになった。テレビ・新聞から政府批判が消えたおかげで、2人の人質救出に失敗したにもかかわらず、安倍政権の支持率が下がらなかったどころか、世論調査では政府の対応を「評価する」と答えた人が大半を占める結果となった。現地の対策本部で指揮をとった中山泰秀外務副大臣をはじめ、誰一人責任をとっていないのに。
おそらく、橋下首相は安倍政権の一連の圧力が大きな効果をあげているのを見て、それをお手本にしたのではないだろうか。会見で恫喝し、つるし上げるよりも、「中立公平」を大義名分に政党名で文書要請したほうが、効果をあげられる、と。ひょっとしたら、直接、安倍首相からアドバイスを受けている可能性もあるかもしれない。
いずれにしても、本サイトでも指摘したように、安倍首相と橋下市長はここにきて急接近しており、次の参院選では、橋下市長が維新の党をわって「憲法改正」を旗印に自民党と合流する可能性もささやかれている。
ということは、つまり、この「言論弾圧コンビ」が日本を牛耳るということだ。憲法の国民投票を前に、テレビに護憲派の学者が出演するだけで、安倍と橋下が「政治活動をしている人間をテレビに出すな」と吠え、メディアは権力の報復をおそれて改正反対の意見を自粛する──。そんな恐ろしい未来が、すぐ目の前までやってきている。
(野尻民夫)
最終更新:2017.12.19 10:05