だが、この騒動にはさらにもうひとつの問題が隠されている。それは、ネット上で行われているこれらのアンケートのほとんどが巧妙な企業の商品宣伝、PRだということだ。
騒動が起こったことですっかり本来の目的が霞んでしまったが、旭化成ホームズのアンケートにしても、同社が手がける住宅販売、リフォーム、システムキッチンのPRの一環だった。
また、2010年、植村花菜の歌う「トイレの神様」が大ヒットした際に、“トイレの神様は本当にいるのか?”というタイトルが謳われたアンケート結果が出回ったことがあった。その内容は、トイレをピカピカにしている人のほうが、そうでない人に比べて平均世帯年収が88万円も多く、社交性があり明るい性格。さらに金運もよく出世もしていて、社会的に成功する傾向がある──というもの。
まるで毎日トイレ掃除をすれば、リッチで楽しい人生が待っているといわんばかりの結果だが、これを発表したのは日用品メーカーのライオンだった。同社がトイレ洗剤などの商品普及のために男女490人を対象にして「トイレの清潔さに関する比較調査」アンケートを実施。その結果に当時、流行っていた歌に絡めたタイトルをつけて、リリースしたのである。
また、今年8月に三菱電機が行った「お風呂の掃除」に関する意識調査も首を傾げるものだった。これは20代から60代の主婦600人を対象に行われたものだが、7割の主婦が「バスタブの掃除を毎日、または沸かすたびにする」と答えている。さらに風呂場の排水溝にかんしては「3カ月から半年に1回」が39%ともっとも多く、次いで1年に1回以下、月に1回程度と続くのだが、そこでなぜか夫婦仲の質問がなされる。その結果は、頻繁に配管洗浄している過程の過半数が「夫婦一緒に夫婦仲の維持に努め」、結婚生活の様々な困難に夫婦が協力して乗り越える傾向が強い……というものだった。さらに年収にかんしても前記の「トイレ掃除」と同様、頻繁に配管洗浄している家庭のほうが世帯年収が高く、そうした家庭の主婦は「料理上手」だったり、「夏休みの旅行は計画済み」と、活動的との結果も公表されている。