★第1位 竹田恒泰「日本人はもっと韓国に無関心にならなくてはいけません」
『笑えるほどたちが悪い韓国の話』(ビジネス社/2014年)
■まさかの「韓国に関心をもつな」論。嫌韓本に向き合った時間を返せ!■
『笑えるほどたちが悪い韓国の話』で、えんえんと嫌韓論をぶち上げる“ネトウヨのアイドル”竹田恒泰氏。当然、じゃあ、どうすればいいのか?という話になるのだが、竹田氏は「おわりに 結局、韓国とはどうすればよいか」で、こう発言するのだ。
「日本人はもっと韓国に無関心にならなくてはいけません(中略)いま韓国に対する日本人の関心は高まる一方です。韓国の大統領や政府が日本を批判すると、日本のメディアは大きくこれを報じます。それでは相手の思う壺なのです。韓国がどんなに日本バッシングをしても、日本はそれらを軽く受け流してしまえば良いのです」
ええっ、韓国に関心向けるなって、じゃあ、韓国のメディア報道に過剰に反応してきた250ページは何だったの?
だが、この「韓国に無関心になれ」と主張をしている嫌韓論者は、実は竹田氏だけではなかった。「彼らの『反日活動』については相手にしない」(三橋貴明)という『愚韓新論』(飛鳥新社/2014年)、「中国と韓国という落ちこぼれ兄弟、どうにもならない異質な二つの国をそれほど真剣に相手にする必要はなく、距離を置いたほうがいいと思います」(石平)、「日本は、中国、韓国と距離を置いたほうがうまくいくと思うんです」(呉善花)という『もう、この国は捨て置け!─韓国の狂気と異質さ』(WAC/2014年)、「再び、韓国叩きで溜飲を下げていれば良いとする風潮にモノ申したい。そのような風潮は愚かではないのか。はっきり言えば、朝鮮半島のことなどどうでも良い」(倉山満)という(『真実の朝鮮史[1868-2014]』(ビジネス社/2014年)などなど。多くの本で同じような「韓国ほっとけば」論が展開されているのだ。
さっきまでの韓国への熱い感情はいずこへ!? ていうか、だったら、いったい彼らは何のためにわざわざ嫌韓本を書いたのか。その答えも、竹田氏の『笑えるほどたちが悪い韓国の話』に載っていた。
「以前は中国に関するネタが盛り上がる傾向がありましたが、最近は韓国がカミングアウトしてきた結果でしょうか、韓国ネタが一番盛り上がるようになりました。そこで、『竹田恒泰チャンネル』で盛り上がった韓国ネタをまとめてみました」
嫌韓本が売れるから。ただそれだけということらしい。まさかのカミングアウトだが、でもまあ、そういうことなのだろう。耳をふさぎたくなるような差別的発言や「国賊」「売国奴」といった勇ましい言葉が満載の嫌韓本も、多くの執筆者や出版社にとっては結局のところ、「ウケるネタ」「売れるコンテンツ」でしかない。「やっぱ今はネトウヨアイドル、竹田さんを出さないと!」「こういうときは室谷センセイにガツンとディスっていただいて」「慰安婦の顔に紙袋? ウケる〜、それいこいこ」。きっと編集部ではそんな台詞が飛び交っているはずだ。
でも、ネタだからといって、侮ってはいけない。出版社や執筆者は商売でも、読者は確実に本気になっている。嫌韓本によって自らのグロテスクな差別感情を正当化し、中韓との戦争を本気で求め始めている。ネタやエンタテインメントがコントロールのきかない熱狂を生み出す可能性だって十分あり得るのだ。そのことに気づかずノーテンキに差別発言を垂れ流している嫌韓本の執筆者や出版社こそ、「戦後民主主義ボケ」「平和ボケ」の典型だと思うのだが……。
(エンジョウトオル)
最終更新:2014.09.16 08:02