「LGBTの権利を認めること=共産主義」のトンデモ主張は統一教会の主張
性的少数者の権利を認め、差別を許さないという先進民主主義国では当然の問題について、西田氏は「問題が出てきたのは共産主義思想の延長線上」などと口にしたのである。
さっぱり意味がわからないが、しかし、性的少数者や性差による差別解消といった問題を「共産主義の思想」だと言い張るのは、まさしく統一教会の主張や姿勢そのものだ。
統一教会は「反LGBT」や「反ジェンダーフリー」の活動を展開してきたことで知られているが、実際、国際勝共連合は2021年の運動方針のひとつに「同性婚合法化や行き過ぎたLGBT人権運動の歯止め」を掲げ、「国内外に浸透する共産主義との闘い」として位置づけている。
統一教会が反共運動と反LGBT運動を結びつけている背景について、宗教社会学者で統一教会問題に詳しい塚田穂高・上越教育大学准教授は、こう語っている。
「私が見るに、政治活動としては「勝共」の「共」の枠が途方もなく拡大され、その中にさまざまなものが入れ込まれることで、「新たな敵」が設定されていったと考えています。家族や「性的」純潔を重視する教えからも、それらの「敵」とされた典型的動向としては、夫婦別姓や性教育、「ジェンダーフリー」、同性婚、LGBTなどの性的マイノリティー理解などが挙げられます」
「彼らが考えるところの「共産主義っぽいもの」「左翼っぽいもの」を一緒くたに「勝共」の「共」に入れ込み、それらと戦うことで自分たちのレーゾンデートル(存在価値)を見いだし活動が続けられる。当事者の悩みや苦しみなどは蚊帳の外で、これらの動向は「文化共産主義」なり「新マルクス主義」なりの策動として捉えられます」
「夫婦別姓や同性婚は家族を破壊すると思い込んでいるし、共産主義勢力による「性の革命」が押し寄せている、これに抗しなければならないというのが現在に至るまでの彼らの行動原理になっていると捉えられます」(「東洋経済オンライン」2022年8月29日付)