買収総額3000億円、吉田会長らに巨額の金を払うオリックスにも社会的責任
このように、ネットに横行するヘイトのなかでももっとも質も悪いネトウヨの差別・陰謀論を抽出して煮詰めたような主張を展開していた吉田会長。DHCテレビが、裁判 所やBPOがデマ・差別を認定しても反省するどころか増長してきたのは、こうした思想を持つ吉田会長に支えられてきたからにほかならないのだ。
こんな組織を、上場企業であるオリックスがそのまま引き継げるはずがない。実際、オリックスは、欧米やアジアを中心に世界約30の国・地域に事業所を持ち、グローバルな事業を展開している。もし、DHCテレビのような民族差別や歴史修正主義を助長するメディアを抱えていることが国際社会に知れ渡れば、たちまち事業は立ち行かなくなるだろう。
そういう意味では、オリックスによる買収にともなうかたちで、DHCを冠にしたヘイトメディアは消滅する可能性はかなり高いと思われるが、そのことを手放しで喜ぶことはできない。このままでは、オリックスの事業継承によって、吉田会長やDHCテレビが喧伝してきた犯罪的なヘイト・陰謀論などがなかったことにされ、問題自体がフェードアウトしてしまう恐れがあるからだ。
しかも、DHCテレビがなくなっても、もっとも酷いかたちで復活する可能性もある。前述したように、今回の買収総額は3000億円程度と言われており、吉田会長は莫大な金を手に入れることになる。新たなメディアを立ち上げることはもちろん、巨額の資金をバックに政界に進出しても、何ら不思議はない。
こういった暴挙を許さないためにも、DHCの名の下に吉田会長が垂れ流してきた差別、DHCテレビが流布してきたデマやヘイトをなかったことにせず、その犯罪性を改めて徹底的に糾弾していく必要がある。
そしてもちろん、DHCを買収し、吉田会長に巨額の金を払うことになるオリックスもその社会的責任が問われるべきだ。
オリックスは、メディアの取材に「人種などによるあらゆる差別を容認しない」という通り一遍のコメントを出しただけで、ネット上では「差別を容認しないなら、なぜそんな会社を買うのか」と批判を受けているが、たしかに、この程度の対応でお茶を濁していいはずがない。
少なくとも、DHCの事業を引き継ぐ以上、その代表、会社および関連会社がやってきた行為についてきちんと総括したうえで、吉田会長をきちんと名指ししてヘイトを批判し、社会や被害者に対して真摯に謝罪する必要があるはずだ。
(編集部)
最終更新:2022.11.13 07:01