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五輪汚職の高橋治之に安倍晋三が「捕まらないようにする」と約束した背景 安倍と高橋は親戚、安倍家の自宅購入資金は高橋弟が捻出

東京地検特捜部は2017年に高橋容疑者の疑惑を掴みながら動かず、フランスの捜査共助要請にも非協力的な姿勢を

 しかも、安倍元首相の疑惑はたんに、東京五輪に高橋をかかわらせ、不正を生み出す構造をつくり出したということだけではない。もうひとつの大きな問題は、「文藝春秋」の記事に出てくる、安倍元首相が高橋にかけた「大丈夫です。絶対に高橋さんは捕まらないようにします」という言葉が実行されていたのではないかという疑惑だ。

 じつは、東京地検特捜部は安倍政権時代、すでに高橋の疑惑を把握していた。にもかかわらず、捜査する姿勢を一切見せず、問題をなかったことにしていた。それどころか、五輪招致をめぐる贈収賄事件を捜査していたフランスの司法当局に協力を求められても、露骨なサボタージュをしていた。

 それは、前述した、招致委から高橋の経営する「コモンズ」への合計約9億6000万円送金が発覚した経緯に関係している。

 この9億6000万円送金が報じられたのは、招致委がみずほ銀行に開設していた口座の出入金記録がメディアの手に渡ったためだったが、じつは、この出入金記録は、東京五輪の贈収賄事件を捜査していたフランス司法当局から流出したものと言われている。

 そして、フランス司法当局にこの出入金記録を提供したのは、ほかでもない東京地検特捜部だった。いったいどういうことなのか。

 周知のように、フランスは国際陸上競技連盟のラミーヌ・ディアク会長(当時)のドーピングをめぐる収賄事件をきっかけに、ディアク親子が東京五輪招致でも収賄を働いていたことをキャッチ。贈賄側として、JOCの竹田恒和会長(当時)をターゲットに、内偵を開始した。

 そして、2016年、日本・EU間の国際刑事共助協定にもとづき、日本に竹田会長、副理事長兼専務理事だった水野正人ミズノ・スポーツ元会長ら招致委関係者5人の事情聴取を含む捜査共助を要請してきた。

 これを受けて、日本では2017年、東京地検特捜部が捜査を担当。依頼された聴取内容や資料の一部をフランスに提供したのだが、そのひとつが、くだんの招致委の出入金報告書だったのだ。メディアに出回った資料には、招致委が口座を開設していたみずほ銀行新宿新都心支店の回答書コピーとともに、原田尚之特捜検事(当時)が同支店に送った照会書のコピーも含まれていた。
 
 つまり、フランスからの捜査共助要請に応じた2017年の時点で、東京地検特捜部は、招致委から高橋の会社「コモンズ」に9億6000万円もの金が流れ、それが買収工作に使われていたことをつかんでいた。

だが、東京地検特捜部はこれについて完全に見て見ぬ振りをした。出入金報告書だけはフランス司法当局に頼まれたためそのまま送ったが、「コモンズ」がどういう会社かすらろくに説明しなかったのではないかといわれている。竹田氏らの聴取も、全員の「私は潔白」という主張を送っただけだった。

 また、国際捜査共助法14条では、「検事正は、共助に必要な証拠の収集を終えたときは、速やかに、意見を付して、収集した証拠を法務大臣に送付しなければならない」と定められているのだが、東京地検検事正は「意見はありません」として意見を付さず。報告書はそのままフランスに送られたという。

 こうした東京地検の姿勢について、フランスの予審判事は「限定的で欠陥が多い」「東京地検の捜査協力は任意にとどまり、必要とした全ての証人の聴取や書類の押収はなかった」と批判したというが、この露骨な捜査サボタージュは、安倍政権の圧力の結果だったとしか思えない。

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