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五輪汚職の高橋治之に安倍晋三が「捕まらないようにする」と約束した背景 安倍と高橋は親戚、安倍家の自宅購入資金は高橋弟が捻出

安倍家の自宅購入資金のために高橋弟がゴルフ会員権を1億円で購入! 高橋弟の長男の就職も口利きか

 しかも、安倍氏の父親・晋太郎と高橋治則はただの親戚関係ではなく、不透明な金銭疑惑があった。やはり二信組事件のさなか、故安倍晋太郎の所有していたゴルフ会員権を治則氏が1億円で買い取り、晋太郎元外相の自宅購入資金の捻出に協力していたことが明らかになっているのだ。1995年3月9日付の毎日新聞がこう報じている。

〈高橋氏は九〇年四月、安倍元外相から「自宅購入の資金ねん出のためゴルフ会員権を買い取ってほしい」という依頼を受け、安倍元外相が所有していた静岡県や山梨県などにある四つのゴルフ場の会員権を総額約一億円で買い取った。安倍元外相はこれをもとに山口県下関市に約一億二千万円で自宅を購入したという。高橋氏は周辺関係者に事実を認め、安倍元外相について「安倍氏とは義父の故岩沢靖氏(元北海道テレビ社長)からの紹介で、家族ぐるみの付き合いをしていた」と話している。安倍元外相の二男の安倍晋三衆院議員は事務所を通し「高橋氏に会員権を買ってもらって自宅の購入資金の一部にしたという話は聞いている」と話している。〉

 こうした黒い関係は、当然、晋太郎元外相の秘書をつとめていた息子の安倍晋三・元首相にも引き継がれていた。当時、治則氏が自分の経営するゴルフ場を使って接待した政治家・官僚のリストが出回ったが、このリストには「安倍晋太郎」とともに「安倍晋三」の名前があった。

 さらに、元特捜検事でありながら闇社会と関係を持ち、石橋産業事件で逮捕された田中森一の告白本『反転』(幻冬舎)には、こんな記述が出てくる。

〈高橋の長男が大学を卒業し、日航と都銀の就職試験を受けた。しかし、どちらも落ち、相談したのが晋三だった。(中略)晋三は二つ返事で就職の世話を快諾。実際、日航への採用の内定が下りた。高橋の長男は舞い上がってしまい、入社早々、会社へスポーツカーで出勤したらしい。〉

 もちろんこれらの疑惑は、弟である治則氏とのものが中心だが、治則氏の絶頂期、治之・氏のロビー活動を治則氏が資金援助するなど表裏一体の動きをして、その人脈を共有していたのは有名な話。当然、「親戚で大タニマチの兄」である高橋治之容疑者とも、親しい関係にあったと考えるべきだろう。

 いずれにしても、こうした過去を振り返ってみると、高橋治之容疑者は、森喜朗元会長の人脈と考えられがちだったが、政界では安倍元首相との関係のほうが圧倒的に古く、深いものだったことがよくわかる。

 しかも、当時、安倍元首相の東京五輪招致にかける意気込みは並々ならぬものがあった。安倍元首相が銃撃で死亡したとき、いっしょに高橋容疑者を担ぎ出したといわれている竹田恒和・JOC前会長が「安倍さんなしでは(五輪招致を)勝ち取れなかった」というコメントを出し、「招致活動をめぐる贈収賄でフランス司法当局の捜査対象となった身で、こんなコメントを出したら、まるで安倍元首相も共犯みたいじゃないか」とつっこまれていたが、安倍元首相もまた、IOC総会プレゼンでの「福島原発はアンダーコントロールされている」という発言が象徴するように、五輪を開催するために手段を選ばぬ姿勢を見せていた。

 だとすれば、当時、五輪招致の瀬戸際に立たされた状況で、招致委理事長だった竹田氏の要請を受けた安倍首相が、親戚で父親の代からの付き合いだった高橋説得に動いていたとしても不思議はない。

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