大阪ワクチン開発者のアンジェス・森下竜一・阪大教授は安倍元首相、維新とべったり
ようするに、吉村・松井コンビは「大阪産ワクチン」に対して、かくも露骨な政治利用と行政を歪めてまでの強引なバックアップを繰り広げたにも関わらず、結果は一時的に開発会社アンジェスの株価を爆上がりさせただけ。コロナ対策にはなんの成果も出せなかったのである。
松井市長は吉村知事と一緒におこなった衆院選の第一声で「政治で一番重要なのは約束を守ってきたかどうかだ」と訴えていたが、こんな詐欺的な約束破りをしておいて、よくもまあそんなことが言えたものである。
しかも、この「大阪産ワクチン」問題は、吉村知事と松井市長がたまたま、大阪で開発中のワクチンがあることを知って、実用化できると勘違いしたというような素朴な話ではない。このワクチンには、むしろ、最初から政治的に仕掛けられたにおいが漂っていた。
というのも、アンジェスの創業者である森下竜一・阪大寄附講座教授は研究者というより、商売的な野心に満ちた、政界とも非常に関係が深い人物だからだ。
有名なのは安倍晋三・元首相との関係の深さで、第二次安倍政権時には「内閣府規制改革会議」委員に選ばれたほか、安倍首相が本部長を務める「内閣官房健康・医療戦略本部」でも戦略参与となっている。
表の役職だけではない。加計学園問題の際、安倍首相と加計孝太郎理事長と萩生田光一氏の3人が写ったバーベキュー写真が話題を集めたが、この翌日、安倍夫妻や加計夫妻が参加するゴルフコンペが開催され、そこに森下教授も参加していた。
また、森下教授は医療研究者でありながら、安倍元首相の憲法改正の動きを後押しする“改憲映画”まで製作している。昨年、公開された浅野忠信と宮沢りえ主演の映画『日本独立』を、「森千里」名義で製作総指揮にあたったと「週刊文春」(文藝春秋)が報道したのだが、その記事では関係者が「映画の企画がスタートしたのは、安倍政権が憲法改正を目指していた頃で、森下氏は出資者を募っていました。日本国憲法はGHQによる押し付け憲法だという内容で、憲法改正を後押しする“改憲映画”。世論を喚起して憲法改正の機運を醸成しようと森下氏は考えたのでしょう」と証言していた。
もちろん、森下教授は、維新とも近い関係にあった。2013年に森下教授は「大阪府・市統合本部医療戦略会議」特別参与となり、2016年には「日本万博基本構想」委員に就任している。つまり、この時点ですでに、吉村知事や松井市長と森下教授にはパイプがあった。