投票率が上がると劣勢の自民党の本音は、かつての森喜朗の「無党派層が寝てしまってくれれば」が本音
星野や荻上氏のこうした発言に比べて、松本の民主主義への理解の浅さはどうだろう。いや、浅いだけではない。前述したように、松本の発言は、投票に行く人に対して「勉強しておいたほうがいい」とアドバイスするものでなく、「軽い感じで行かれても」と投票行動を抑圧するものなのだ。
森喜朗氏が首相時代に、劣勢を伝えられる衆院選挙の演説で無党派層の投票行動について、「そのまま(選挙に)関心がないと寝てしまってくれれば、それでいい」と発言して大問題になったが、今回も投票率が上がれば上がるほど、自民党が劣勢になるため、自民党サイドには、同様の本音があるといわれている。
松本のこれまでの自民党政権べったりの言動から考えると、今回も、政治に関心のない人が大挙して投票に行って自民党の議席が減ることへの忌避感が、無意識のうちにこうした投票を抑制するような発言につながっているのではないかと勘ぐりたくなる。
いずれにしても、自分こそがたいした勉強をしていない政権応援団の「勉強してから選挙に行け」などという説教なんて聞く必要はない。政治について勉強していなくても、詳しくなくてもいい。自分が置かれた状況や社会への不満をぜひ、投票という形で表してほしい。
(伊勢崎馨)
最終更新:2021.10.25 11:31