『ワイドナショー』番組HPより
菅田将暉や二階堂ふみ、コムアイらが投票を呼びかけ、注目を集めている「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」だが、ここにきて足を引っ張る動きも見られる。昨日、報じたローラへの差別攻撃だけでなく、ネットには「芸能人がまた政治に口を出している」「顔ぶれを見たら反自民」「政治知らない奴がこんなことやるな」などという的外れな批判がばかりだ。
さらに、あの松本人志の口からは、「軽い感じで(投票に)行かれてもよくない」と水を差すような発言が飛び出した。
24日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)で菅田らの投票呼びかけが取り上げられたのだが、ワイドナティーンの伊藤小春が「18なので投票権は持ってるんですけど、まだ行ったことがなくて。専門的な知識もないし。行っていいのかな、みたいな」「そんな浅い知識で投票していいのかな、みたいなのがあって」と発言。
こうした不安には「それでも行ったほうがいい」というのが普通だと思うが、松本人志は、「いまの働きかけ、素晴らしいと思う」と前置きしながらも、こう語ったのだ。
「ちょっと補足したいのは、ある程度勉強してから行ってくれ、と。軽い感じで行かれても、よくないと思うんですよ。もうちょっと勉強してからということと。それから、今回だけじゃなくて、今回から行こうっていうふうに、もっと訴えかけてほしいな」
「これはたぶん5年、10年かかると思うねんけど。なんとなくだけじゃ、どんどんおかしな方向に行く可能性もあるので」
毎週毎週、床屋政談以下のコメントで、政治や社会状況に関する無知をさらけ出している松本が上から目線で何を言っているのか。「お前こそもうちょっと勉強してから、情報番組に出演しろ」という話だろう。
いや、それ以前に問題なのは、この「勉強してから選挙に行け」「軽い感じで行かれても」という発言自体が、民主主義否定につながりかねないことだ。当たり前だが、民主主義では、あらゆる人に投票する権利がある。政治についてまったく勉強していなくても、中途半端な知識しかなくても、それぞれの立場、意識で投票に行っていいのだ。
実際、政治に詳しくない人の声が間違っているとは限らないし、その意見が本質を突いていることもある。社会のありようや自分の置かれた状況への怒りや不満をもっているなら、投票にいくべきだし、その1票が社会を良くする可能性は十分あるだろう。
そして、政治に関心のない人が投票することで、政治への参加意識が芽生え、政治について関心が高まっていくという効果もあるはずだ。
松本のように、きちんと投票できるようになるまで「5年、10年かかる」などと言っていたら、それこそ政治は自称エリートたちだけのものになってしまうだろう。
しかも、松本は投票に行く人に対して「少し勉強しておいたほうがいいよ」とアドバイスしたわけではなく、「軽い感じで行かれても」と、その投票行動を抑圧しようとしていた。いったい何様なのかという話だろう。