「きっちり割り勘」と強弁していた平井大臣 文春の取材のあとに慌てて支払ったことが発覚して大恥
ところが、平井大臣は「週刊文春」の発売日の翌日、6月25日に開かれた閣議後会見でこの問題を問われ、NTT幹部と8回の会食は認めたが、「日頃から多くの方々としている意見交換」のひとつで、「個別のプロジェクトの調達に関する話はしようがない」「大臣規範にのっとった対応をしており、国民から疑念を招くようなことはない」と強弁。費用についても、以下のように述べていた。
「私の費用負担ですね。私と同席していた事務方の分をきっちりと支払っております。これは先方からの請求どおり、割り勘として問題のないようにきっちり払ったということで、私の会食を対象にするかどうかは、コンプラ委員会が決めることだなと。ですから会食も含めてやっていただいても全然結構なんですけれども、そういうことです」
平井氏は、会食の費用について「同席の事務方の分も含めて割り勘にしてきっちり払ったからなんの問題もない」と言い切り、「コンプラ委員会で調べるなら調べろ」と啖呵を切っていたのだ。
しかし、今回、デジタル庁は、大臣になってからの2回の会食の割り勘が会食から半年後の「事後的」であることを認めただけでなく、平井氏が割り勘の支払いが、「週刊文春」からの取材を受けた日であることを明かした。
ようするに、平井大臣は、「文春」に高級接待を受けていた事実を突きつけられてあわてて費用を払っただけ。泥棒が盗んだものを返したからといって罪が消えないのと同じで、「割り勘」でもなんでもない。閣議後会見での威勢のいい説明は、完全に虚偽だったのである。これで「大臣規範にのっとっている」「国民に疑念を招くようなことはない」などといいはっていたのだから、その厚顔ぶりに呆れ果てるしかない。
しかも、6月の「文春」報道後の会見のあとも、平井デジタル相の不正隠蔽の姿勢は全く変わらなかった。もはや言い逃れできないような事実が明らかになっても、まだ悪あがきを続けていた。
それが冒頭で紹介した事務方ナンバー2、次官級の幹部である赤石浩一・デジタル審議官の接待発覚と処分発表だ。
デジタル庁の前身である内閣官房IT総合戦略室では、この間、オリパラアプリをめぐり「文春」が報じたNTTからの接待も含めて、さまざまな疑惑が噴出したことから、弁護士などを入れて内部調査をせざるをえなくなっていた。その結果、赤石審議官と、やはり「文春」に報じられた向井治紀・元内閣官房IT総合戦略室室長代理(9月1日付けで退職)、そして平井大臣がNTTグループからの高額接待の会食に同席していたことが判明。
これを受けて、9月24日、デジタル庁は、赤石審議官の国家公務員倫理規程違反と処分を発表、昨年10月2日にひとり約3万円の飲食代と手土産、タクシー代、12月4日はひとり約4万円の飲食代とタクシー代の高級接待を受けていたことを明らかにした。
ところが、平井デジタル相はこの処分発表の会見の際、自分がその2回の会食に同席して、同じように接待を受けていたことを一切語らなかった。
それどころか、接待した側がNTTであることがわかると、自分が同席した「文春」の件であることがバレるため、この時点では、企業の名前を明かさないという呆れたやり口をとっていた。