共産党を破防法の対象にしている公安調査庁のお粗末な実態、予算維持のためのでっちあげ
共同通信で公安を担当し、『日本の公安警察』(講談社)という著書もあるジャーナリスト・青木理氏も共産党が破防法の監視対象団体となっている問題について、こう解説する。
「公安庁は、冷戦期からの惰性と妄想、そして自らの組織維持のために共産党を監視対象団体としているだけのこと。しかもその情報収集能力も劣悪で、冷戦体制の終焉時には自民党内からも『公安庁に膨大な予算をかける意味があるのか』と廃止論が出されるほどでした。ただ、公安庁と破防法は成り立ちから分かるように、共産党をはじめとする左翼勢力取り締まりが最大目的ですから、それを否定されると組織の存在意義に直結してしまう。とにかく彼らの頭の中にあるのは、組織の存在意義を保つことと予算を削減されないことだけで、そのために無理やり監視対象を作り出している。実際にこの60年以上、破壊活動の立証など一度もできていないのですから、まさに不要なのは公安庁と考えるべきでしょう」
ようするに、共産党をいまだ破防法の対象にしているのは、公安調査庁が自分たちの組織と予算を維持するため。実態はまったくないのに無理やり「破壊活動の疑い」をかけ続けているのだ。
ところが、自民党政権や右派勢力はこの公安庁の予算維持目的のでっち上げに乗っかって、これを共産党叩きに利用してきた。
実際、松井市長がリツイートした高橋・元参与のツイートにある「6月の閣議決定」というのは、維新の鈴木宗男・参院議員の質問主意書に対し、〈日本共産党は、現在においても、破壊活動防止法に基づく調査対象団体である〉などと答えたものだが、この鈴木宗男議員の質問は、「正論」(産経新聞社)7月号に掲載された公安調査庁・横尾洋一次長と佐藤優氏の対談「日本共産党に騙されるな 革命路線に変わりなし」を受けてのものだ。
そして、この閣議決定でも、肝心の具体的事案については、〈暴力主義的破壊活動を行った疑いがあり、現在でもこの認識に変わりはないが、その具体的内容を明らかにすることは、公安調査庁における今後の業務に支障を来すおそれがあることから、お答えは差し控えたい〉などと思わせぶりに答えるだけで、何もあげることができなかった。