読売新聞はさんざん「疲れている」ことを喧伝した上で「なるべく休むべきだ」のコメント
全国で新規感染者数が2万人を突破するというかつてない非常事態に陥っても、何ひとつ反省しようともしない菅首相。当然、その責任が徹底して追及されるべき局面にあることは言うまでもない。
ところが、この状況下にあって、メディアではむしろ菅首相に同情を寄せるような記事が目立ちはじめている。「菅首相が疲れている」「休みもなく働いている」というのだ。
たとえば、昨日13日付の読売新聞ウェブ版では、「首相「目に力ない」「やつれた」…137日連続執務、夏休みモードでも休めず」という記事を掲載。そこにはこう書かれていた。
〈菅首相は12日から夏休みモードに入った。執務時間を短縮し、省庁幹部らとの面会も絞ったが、新型コロナウイルスの感染拡大で完全な休暇は取りづらい状況だ。疲労の蓄積を懸念する声も出ている。〉
〈首相と頻繁に面会する閣僚は「首相はやつれたように見える。目に力がなくなった」と語る。最近は、省庁幹部が拍子抜けするほど淡々と面会が終わることもあり、首相周辺は「疲れがたまり、関心が低いテーマでは集中できない時間が増えている」と漏らす。〉
医療崩壊が進行し、災害レベルというこの非常事態に危機管理のトップが「夏休みモード」に入っていること自体が信じられないのだが、「疲労蓄積」「やつれた」とは……。だいたい、「目に力がなくなった」というが、前述したように昨日のぶら下がりでは目一杯、朝日の記者を睨みつけていたし、「関心が低いテーマでは集中できない時間が増えている」って、疲労云々以前にそんな態度の総理大臣はその座を退くべきではないのか。
だが、読売の記事はご丁寧にも、元陸自幹部で心理カウンセラーの下園壮太氏にわざわざコメントを求め、〈「迅速、的確な判断が求められる指揮官は、なるべく休むべきだ。休めない場合でも面会や移動を減らすなど工夫する必要がある」と指摘する〉と書き、記事を締めくくっているのだ。
これは読売だけではない。時事通信や朝日新聞も同じように、菅首相周辺のこんな声を伝えている。
〈首相周辺は「休むように言っている」と明かすが、首相は土日や祝日も首相公邸で新型コロナウイルス関係の会議や民間人との面会などの日程を入れるスタイルを変えない。〉
〈普段接している閣僚の一人は「首相は明らかに疲れている」と指摘。休暇取得を促す周囲の言葉に耳を傾けない姿勢に「いつの時代も首相は独りぼっちだというけれども、菅さんは究極の独りぼっちだ」と語った。〉(時事通信13日付)
〈菅義偉首相が「夏休み」をとるのかどうかが、政権内の話題になっている。昨年9月の就任から11カ月間で、首相が終日、自宅から出なかった「休み」は計3日。周辺は「さすがに疲れている」と休みをとるよう進言。〉
〈閣僚の一人は「相当疲れていると思う。休んでほしい」と話す。〉(朝日新聞12日付)
何度でも繰り返すが、無為無策どころか東京五輪の開催強行で感染拡大に拍車をかけ、国民を命の危険に晒しているのはこの男だ。にもかかわらず、その責任追及もせずに“コロナ対策に尽力して疲労が蓄積しているのに休もうとしない”などというストーリーが流布されているのである。