東京都公式HPより
ついに「自宅療養」の人数が2万人を超え、「入院・療養等調整中」の人数と合わせると3万人を突破した東京都。昨日12日におこなわれた東京都のモニタリング会議では、専門家から「制御不能な状況」「災害レベルで感染が猛威をふるう非常事態」と厳しい評価が飛んだ。
しかし、そんななかで深刻さが微塵も感じられなかったのが、都のコロナ対策の陣頭指揮をとる小池百合子都知事だった。この席上でも小池都知事は、テレワークが進んでいないことについて「この時期にやらないでいつやるんだということ」などと槍玉に挙げ、さらにはスーパーマーケットなどでの入場制限や間隔を空けるルールが「守られていない」と言い、「毎日の買い物を3日に1回程度に」と都民に呼びかけた。
「制御不能」「災害レベル」と指摘され医療崩壊が伝えられるなか、首長が取るべき行動は、福井県が体育館に用意した軽症者向けの臨時病床をつくるといったようなことだ。ところが、小池都知事が打ち出したのは「買い物を減らせ」……。この期に及んでも「お前らがやれ」としか言わないのである。
いや、もっとひどかったのは、11日の発言だ。同日、小池都知事は報道陣に対して、軽症で「自宅療養」中だったひとり暮らしの30代男性が死亡したことを報告したのだが、その際、耳を疑うようなことを口にしたのだ。
「30代の方がですね、自宅で亡くなるというケースが出ておりまして、その方もですね、健康観察はつづけていたわけですが、体調がですね、急変したと。容体が急変するということで、『若いから』というのではなくて、『何も病気ないよ』というのではなくて、ぜひとも基本的なところをお守りいただくように徹底してお願い申し上げたい」
自宅で死亡するという痛ましい事例が発生したというのに、なんと、あたかも亡くなった男性が「若くて基礎疾患もないから」という油断があった、落ち度があったかのように語って責任を押し付けたのだ。
だが、当然ながら油断や落ち度があったのは小池都知事のほうだ。小池都知事は東京五輪開催中の7月26日に、「ひとり暮らしの方々などは、自宅も、ある種、病床のようなかたちでやっていただくことが、病床の確保にもつながるし、その方の健康の維持にもつながる」と発言し、政府に先駆けて「自宅放置」を打ち出した張本人。今回亡くなった男性はこの発言どおり、「自宅を病床に」させられたひとりだからだ。