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五輪の「被災地」「復興」ないがしろが酷い! コンセプトから消し、開会式でもアリバイ的な扱い…被災県の子どもの深夜動員にも批判

五輪の「被災地」「復興」ないがしろが酷い! コンセプトから消し、開会式でもアリバイ的な扱い…被災県の子どもの深夜動員にも批判の画像1
東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイトより


 23日におこなわれた東京五輪開会式の演出をめぐり、「恥ずかしい」「しょぼすぎ」という批判が巻き起こっている。世界的な映画監督でもある北野武は24日放送『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS)のなかで「税金からいくらか出してる。金返せよ! 困ったねえ」「外国恥ずかしくていけないよ俺。本音はそうでしょ? あれ、素晴らしかったですか?」と酷評した。

 たしかに、開会式の演出・内容は東京五輪に賛成か反対かは関係なくひどいものだった。何しろ最初のパフォーマンスが、アスリートがランニングマシーンやエアロバイクなどで黙々とトレーニングするというもの。「コロナ禍でのアスリートを表した」らしいが、表現が安直で稚拙すぎるうえ、これでは、コロナの困難をアスリートだけの問題に矮小化するようなものではないか。

 その後も、火消しや大工、職人に扮した人たちのパフォーマンス、ピクトグラムを人間がマイムで表現するパフォーマンスなど、社会への視点も必然性もまったく感じられない小ネタが続く。さらに、劇団ひとりと荒川静香が五輪開会式の照明スタッフに扮してイタズラするというロンドン五輪のMr.ビーンのバッタもんのようなVTR、複数回登場したなだぎ武らがテレビクルーに扮した寸劇にいたっては、レベルの低いバラエティ番組のコントを見せられているようだった。

 あれで閉会式合わせて165億円もの予算をかけているとなれば、「金返せ」と言いたくなるだろう。

 だが、問題はその中身の「お粗末さ」だけではない。最大の問題は、東京五輪の出発点だったはずの「復興五輪」というテーマが、開会式ではまったくフィーチャーされなかったことだ。

 全体を通じて、「震災からの復興」をテーマとしたパートは一切ない。IOCのトーマス・バッハ会長や組織委の橋本聖子会長が挨拶でアリバイ的に触れた以外は、「震災」「復興」の言葉すらまともに出てこなかった。

 披露された映像映像やパフォーマンスにもそのメッセージを打ち出すものはまったくなかった。むしろ、「震災」や「復興」を意図的に避けているのではないかとさえ思えるほどだった。

 たとえば、オープニング直後に流された映像も、2013年の招致決定の瞬間から現在までを振り返るだけで、2011年の震災は入っていなかった。

 また、式の序盤に森山未來のダンスが披露されたが、その際、「新型コロナウイルスで亡くなった友人・家族をともに偲ぶ時間」とアナウンスされ、「この世を去ったすべてのオリンピック選手」、なかでも「1972年のミュンヘン大会中に襲撃され死亡したイスラエル選手団」への黙祷が捧げられたが、東日本大震災の犠牲者に黙祷が捧げられることはなかった。

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