指定暴力団組長が代表を務めていた建設会社から献金を受けていた平井デジタル改革相
平井デジタル改革相の発言から察するに、減額の方針に対してNECが折り合おうとしなかったことが推察されるが、それに対して「脅しておいたほうがいいよ」「完全に干す」「やるよ本気で」「払わないよ」とは……。平井デジタル改革相は指定暴力団組長が過去に代表を務めていた建設会社から計76万円の献金を受けていたという問題が浮上したこともあるが、一体どこのヤクザかというような発言ではないか。
しかも、平井デジタル改革相は本日の会見で、「脅しておいたほうがいいよ」などと指示した内閣官房の幹部について、「まさに幹部中の幹部2人、10年来、私が一緒に仕事してきた仲間でございますので、非常にラフな表現になったなとは思います」などと釈明した。
「脅しておいたほうがいいよ」というヤクザ顔負けの物騒な発言が「ラフな表現」って……。普段、平井デジタル改革相がいかにナチュラルに恫喝の指示をおこなっていることの証左と言っていいだろう。
平井デジタル改革相といえば、本サイトでも取り上げてきたように、自民党ネットメディア局長を務めていた2013年に「ニコニコ動画」で党首討論が生放送された際、国会議員であることを隠してスマートフォンで「あべぴょん、がんばれ」などといったコメントを投稿。さらに、社民党の福島瑞穂党首が発言したときには「黙れ、ばばあ!」などと書き込んでいたことが発覚。この事実は当時、東京新聞が報道し、本人も事実を認めている。
「ばばあ」というのは、個人への誹謗中傷どころか、女性に対する明白な差別発言。こんな人物を菅義偉首相は「デジタル庁」創設に向けたデジタル改革相に抜擢したこと自体が問題なのだが、その意味も今回の音声を聞けばよくわかるというもの。「脅し」をかければどうにでもなるという考えは、菅首相にソックリだからだ。
しかも問題なのは、平井デジタル改革相が恫喝をかけることを指示したのは、明らかに「デタラメ発注の責任逃れ」「不透明な契約隠し」のためであることだ。
そもそも「オリパラアプリ」をめぐっては、入国後14日間の隔離措置をなしにしても安全を担保できるなんてことがアプリひとつで可能になるのかという疑義があり、当初からその巨額の予算の妥当性が国会で問われてきた。本来、予算額が妥当なのであれば、その妥当性を国民が納得できるよう説明をおこなうのが平井デジタル改革相の責任だ。
ところが、平井デジタル改革相はその説明もできず、今回もNECの契約解除について、「同社の顔認証機能が不要になった。すでにNECが開発済みのシステムを使ったサービスなので払う必要はない。現場には裁判になってもいい、と指示して交渉させた」と説明したのだ。
言っておくが、「オリパラアプリ」の契約金額の内訳では、「顔認証連携システム」に開発費として2億円、運用に3億円が計上されていた。「すでにNECが開発済みのシステムを使ったサービスなので払う必要はない」と言うのであれば、当初から開発費に2億円を計上しているのがおかしいということになる。
つまり、平井デジタル改革相は今回、契約金額自体に疑義があったのを、減額にすることで有耶無耶にしようとしたのである。それどころか、業者に恫喝をかけるよう部下に指示まで出し、「金は払わないよ」という姿勢で減額を一方的に打ち出していたのだ。ようするに、平井デジタル改革相は自分の無責任さを隠すためにケツ拭きを業者にやらせた、というわけだ。