東野が「先生」と崇める高橋洋一は政権応援団だけでなく嫌韓本も出版
しかし、今回のことであらためてわかったのが、ワイドショーのコメンテーターを務めているお笑い芸人たちが、高橋氏から想像以上に大きな影響を受けているということだ。
高橋氏を「T先生」とまで呼んでいた東野幸治、『正義のミカタ』以外でも、YouTubeでコラボするなど薫陶を受けているほんこん、さらには、竹山までが「正しいこともよく言ってらっしゃる」などと評価しているのだ。
しかし、周知のように、高橋氏といえば、もはや経済学者というよりは、露骨な政権応援団でしかない。
もともとは、所属していた財務省に反旗を翻し、反増税・反緊縮の経済論客として知られていた高橋氏だが、窃盗容疑で書類送検される事件で一旦、表舞台からいなくなる。しかし、橋下徹・元大阪市長との結びつきで大阪市特別顧問になって復活し、第二次安倍政権が本格化し始めると、財務省への敵愾心だけはもったまま、政権に急接近していった。
経済問題だけではなく、森友・加計や公文書改ざん、「桜を見る会」などの疑惑では、事実を捻じ曲げ、フェイクを振りまいてでも、当時の安倍晋三首相を擁護し、疑惑を追及する野党やマスコミを攻撃していた。
その姿勢は、菅政権になって内閣参与になるとさらに露骨になり、日本学術会議問題などでも、学術会議に民営化を求めるなど、無茶苦茶な論理で、菅首相を擁護していた。
しかも、近年はネトウヨ化も進んでいる。2019年には『韓国、ウソの代償』(扶桑社)なる嫌韓本を出版しているが、そのなかには、以下のようなネトウヨの在日ヘイトと見紛うような記述もあった。
〈実はマスコミには意外と外国人が多い。筆者の知る限り、NHKにも在日外国人は多い。だから反対するのかもしれない。もちろんその中には在日韓国人だっているし、出版社にも結構多いはずだ。〉
〈国民性の話はあまりしたくないが、韓国は小が大に事える、強い勢力に付き従うという「事大主義」に取り憑かれている。これは完全に半島根性で、強いものに巻かれて弱いものに強く出る。だからずっと中国に依存してきた。〉
東京五輪をめぐっても、森喜朗・前組織委会長の女性蔑視発言があった際には、森批判を「ひどいメディアスクラム」と決めつけ、自身のツイッターでも〈中国のウイグル族ジェノサイドで北京五輪が危ない、その後BBCの等でも報道がされている時に森問題がでてジェノサイド報道が消えたのはおかしい〉(原文ママ)などと陰謀論めいたことまで垂れ流す始末だった。
コメンテーター芸人のネトウヨ化、政権御用化が問題になっているが、高橋氏のような人物が影響を与えているとすれば、当然とも言えるだろう。しかも、高橋氏は一方では、菅政権の内閣参与を務め政権にも影響を与えている。高橋氏を介した菅政権と芸人コメンテーターの一体化。まさに日本の政治とメディアのグロテスクな風景というほかはない。
(編集部)
最終更新:2021.05.14 11:31