小室氏バッシングの背景にあるのは、生活保護バッシングにも通じるグロテスクな貧困差別
実際、玉川氏でなくても、元婚約者側の言い分がすべて正しいとも言い切れないことは、まともな社会人ならわかる話だ。
ところが、ワイドショーや週刊誌、ネットニュースはその婚約破棄の経緯や、元婚約者の行動の部分をネグって「借金だろうが借金じゃなかろうがお世話になったのだから誠意を示せ」などとわめいているのだ。
いったいなぜか。ワイドショーも世論も、エクスキューズのように、「眞子様には幸せになってもらいたい」「お祝いしたい気持ちはあるのに」などと言っているが、本音はこの結婚が気に入らず、潰したくて仕方がないのである。
それは、小室氏と母親が“不誠実”だからではない。2人を「身分をわきまえない、分不相応な人間」と考えているからだ。
そもそも眞子内親王と小室氏の結婚問題をめぐっては、元婚約者との金銭トラブルが報道される以前、婚約内定発表直後から、保守勢力や安倍応援団を中心に激しい反対の声があがっていた。
ネットでは「これは国民の義務として反対すべき縁談」などと息まく意見や、「#眞子様婚約反対」なるハッシュタグまで登場。小室氏に対しても、「眞子様の婚約相手も韓国人の疑いがあり、中韓ののっとりの一つです。 断固反対します!安倍さん、皇室も取り戻してください」といったいかにもネトウヨな陰謀論丸出しのヘイトデマ攻撃や、「出自がハッキリしない男性は願い下げ」「どこの馬の骨ともわからない」「内親王の降嫁先としては胡散臭すぎる」などと根拠のない、前時代的な差別的言説が投げつけられてきた。
それと並行する形で、週刊誌を中心に、家庭問題や母親の男性問題など、真偽不明の様々なバッシング報道が大々的に展開され始めたのである。
なかでも多かったのが、小室氏の母親や小室氏が貧乏なくせにセレブ気取りの生活をしていると嘲笑する記事だった。派手な生活をするために、男にすりよっているかのように書き立てるものも少なくなかった。
また、小室氏の教育についても、お金もないくせに学費の高いインターナショナルスクールに通った。お金もないくせに学費の高いICUに通った。お金もないくせに留学した、といった誹謗中傷が浴びせられた。
こうした情報も、結婚に反対する宮内庁の保守派が流していたという見方もあるが、しかし、だとしても、こういう類のバッシングがここまで広がったのは、やはりマスコミや視聴者、読者の間に「貧乏人のくせに」という差別意識があるからだろう。