「体を使って」発言を謝罪せず、その後もミソジニー丸出し発言を繰り返してきた松本
いや、それどころか、松本はこの“体を使って”発言について、反省も撤回もしていない。
SNSの批判を受け、翌週の『ワイドナショー』で松本はこの発言について釈明したが、「鬼のようにスベっていたから。鬼のようにスベったら、逆に恥ずかしくて(カットしてくれと)言えない。あれだけスベっていたら早く家に帰りたいと。だから言えなかった」とカットしなかった問題に矮小化したあげく、「無口なコメンテーターという新たなジャンルを切り開きたい」「炎上はこの先もしていくと思う。仕方ない。炎上で得られるものもある。その大火事になったときに大切なモノが見えてくる。持ち出さないといけないものもわかる」とまるで自分が理不尽な炎上の被害者かのようなことを言うだけだった。
しかも、松本はその後も、セクハラ被害者バッシングやコロナ給付金でのホステス・風ぞく業差別など、様々な話題のなかで女性差別発言を繰り返してもいる。
松本は3月28日放送回で、例の『報道ステーション』の女性蔑視CM動画について取り上げた際も、「ジェンダーのことでグワッて言われたら、謝るしかないというこの状況は絶対によくない」「現に僕もジェンダー問題をあまり語りたくないみたいな気になっている」とバックラッシュ的発言をしていた。
「グワって言われたから、とりあえず謝った」だけで(実際には謝ってすらいないのだが)、「ジェンダー問題をあまり語りたくない」と議論や反省を拒否したままなのだ。
もっとも、セクハラの加害者でありながら、あたかも過剰なポリコレの被害者になっているかのようなこうした倒錯した意識は、テレビやお笑い芸人の世界に共通するものだ。
今回も、マリエの過去の言動をほじくりかえして、あたかも今回の発言が彼女の「被害妄想」であり、出川がまるでその被害者であるかのような論調の記事も多数、見受けられた。
だが、マリエに告発されたやるせなす・中村豪が枕営業の話をしたことを否定しつつも、「確かにその日、ソファ席で下ねたを話したし、席にマリエさんがいたことも覚えている」と証言していることを考えると、マリエが「性的関係の強要」と受け取ってしまうような発言があった可能性は高い。
にもかかわらず、セクハラを“下ねた”としか認識せず、それを告発する女性に対して、「冗談がわからない女」「被害妄想」と攻撃する──そういう意味では、いま、おきているマリエへのバックラッシュ的な揶揄こそが、この国の社会のミソジニー的価値観の象徴といっていいだろう。