日本学術会議任命拒否や文化功労者への介入も「権力快感おじさん」の心性が影響
官僚だけにとどまらず、政治家による介入など許されないメディアの報道にまでその権力をちらつかせて圧力をかける。しかし、ついにその手は学者にまで伸びていたことが、今回の日本学術会議任命拒否問題によって判明したのだ。だがこれも、実際には以前から学者の言論監視・排除はおこなわれてきていたものだ。
たとえば日本学術会議に対しては、2014年の交代人事の際から杉田官房副長官による介入がはじまっていたことがわかっている。また、前述の前川喜平氏は、文科事務次官時代の2016年、文化功労者や文化勲章受章者を選ぶ審議会の人選において、大臣の了解が出ている委員の候補案を杉田官房副長官に持っていったところ、「好ましからざる人物」「この候補は任命するな」と言われ、候補者2人の差し替えを要求されたことを証言(TBS『news23』10月9日放送)。本サイトで2017年に掲載した作家・室井佑月との対談でも、「安保法制に反対する学者の会議に入っているから外せ」と指示されたと語っている(既報参照→
https://lite-ra.com/2017/09/post-3473.html)。
しかし、今回、菅首相は「推薦された者を総理はそのまま任命する」という政府見解・法的解釈を無視し、ついに違法行為によって平然と気に食わない学者を排除してみせた。しかも、菅首相はいま国会で後付けかつ支離滅裂な説明を繰り返し、任命拒否の理由を国民にいまだに語っていないが、その答弁はまったく悪びれる様子はない。だがそれも、プチ鹿島による〈権力快感おじさん〉という指摘を踏まえれば、腑に落ちる。権力を行使することに躊躇がなく、むしろそれが快感になっているのだから。
もちろん、笑えるような話ではけっしてない。官僚、メディア、学者と手をつけてきた〈権力快感おじさん〉は、この先、市民の表現や言論活動などにも介入し、弾圧することは目に見えている。そしてこの「パンケーキおじさん」の恐ろしい本質を多くの国民が知るとき、それはもう手遅れになっているかもしれない。
(編集部)
最終更新:2020.11.04 09:16