8月7日『言論テレビ』での櫻井・菅両氏
このところ安倍首相との関係が修復し、「ポスト安倍」候補にも復活したとされる菅義偉官房長官。ところが、8月7日、櫻井よしこ氏のネット番組『言論テレビ』に出演して他のポスト安倍候補に対する評価を聞かれた際、石破茂氏についてだけ言及したとして、一部のマスコミが「石破氏と連携しようという意思の表れか」と騒いでいる。
しかし、この見方はいくらなんでも浅すぎるだろう。そもそもこの日の菅官房長官は、石破氏について言及したといっても櫻井氏に問われて「安倍総裁、石破幹事長、菅幹事長代行で仕事をしたことがある」「そういう評価はされているのではないか」とコメントしただけ。社交辞令の範囲を出るものではない。
むしろ、今回のことで注目すべきは、菅官房長官が櫻井氏のネット番組に出演したこと自体だろう。周知のように、櫻井氏は安倍首相の応援団の筆頭で後見人といってもいい存在。その櫻井氏が自分の番組にわざわざ菅氏を招き、ポスト安倍について質問したということは、事前に安倍首相やその周辺から菅氏との関係修復、菅氏をポスト安倍に後継指名する可能性を感じたからではないか。実際、全国紙政治部デスクもこう語る。
「たしかに、安倍首相が菅官房長官を後継に考え始めたという情報は流れてますね。この間の迷走を見て、最有力だった岸田文雄政調会長に失格の烙印を押したものの、石破氏だけはどうしても首相にしたくない。そこで、残った選択肢が菅官房長官だったということのようです。安倍首相の性格からすると、自分の存在をかき消すような派手な人物は次の首相にしたくない。しかし、菅さんそういう心配ならないし、実務者として難問山積の“アフターコロナの処理”を押し付けられると考えたのでしょう」
いやいや、こんな男が総理大臣になってコロナ問題の後処理などをしたら、それこそさらにとんでもない事態になるだろう。いまさら説明するまでもないが、菅官房長官はこの間、安倍政権の行政私物化と無責任政治の急先鋒としてはたらいてきた政治家なのだ。黒川弘務検事長の任期延長や河井克行元法相の買収事件にも深く関わっているし、コロナ対応でもGoToキャンペーンの混乱などは完全に菅官房長官の責任といっていい。
しかも、この男の無責任な本質は、櫻井氏の番組でのやりとりでも明らかになった。それは、番組中、安倍様原理主義者の櫻井氏から「なぜアベノマスクをつけてないのか」と迫られたときのことだ。