「検察庁法改正案の役職定年延長の特例も、法務省が持ってきた」「検察全体の意思」と強弁
だが、安倍首相はさらにとんでもない大嘘を口にしはじめる。“検察庁法改正案の役職定年延長の特例”も、法務省が持ってきたもの”などと言い出したのだ。
まず、櫻井氏が役職定年延長の特例について言及し、「これも法務省が持ってきたと取材のなかで聞いたんですが、法務省からの要請でそれをそのまま了承したわけですか?」と安倍首相に話を振ると、またも示し合わせたかのように、安倍首相はこう答えたのだ。
「ま、いままでですね、定年において、検察庁においてはですね63歳までと、65歳まで、これ検事総長ですけれども、そこで定年であったわけでございます。今度あの、国家公務員法を改正をして定年を上げましたよね。65から68になっているのかな(どこかに視線を送る)。それで同じようにですね、あの、いわば法務省のほうにおいてもですね、(机の上の資料に目を落としながら)定年を引き上げた。あ、65歳までですね。定年を65歳までの段階的な引き上げ。役職定年、およびその特例の導入をおこなうということなんですが、いわばこれ、一般の公務員のみなさんの定年を上げることについて、それに準じてですね、この法務省においても、検察庁においてもですね、その定年にして、合わせたいという考え方であったわけですから、法務省においてですね。で、当然それでこの法案としてまとめて出させているということなんですね」
そして、櫻井氏が「法務省のほうから上がってきたということは検察全体の意思ということに、私なんかは見るし、みんなそういうふうに思うわけですけども、それを官邸が了承したにすぎないということでよろしいですか? そういう理解でよろしいですか?」と強調すると、安倍首相は「それはそうです」と答えたのである。
おいおい、ふざけるのもいい加減にしろ。「内閣や法相が認めれば特例として役職定年の63歳になった後もその役職にとどまれる」という例外規定は、昨年秋に内閣法制局が検察庁法改正案を審査した段階ではなかったのに、今年になって追加してきたものだ。“国家公務員法改正案に準じて検察庁法も合わせた”というのなら昨年秋の段階でそうしていたはずで、まったく辻褄が合わない。
しかも、法務省は昨年秋の法案検討の際に、役職定年の例外について「63歳以降も続けさせる例外規定は必要はない、それによって公務の運営に著しい支障が生じることはない」という見解を出していた。それなのに例外規定が今年になって盛り込まれたのは、黒川氏の定年延長の閣議決定を後付けで正当化するため以外に考えられない。