ドライブスルー検査導入後も厚労省は「韓国は感染防御対策が不十分」と嘘
また、厚労省は御用メディアや専門家を使って、あたかもドライブスルー検査が感染拡大を引き起こすかのような情報も振りまいていたが、これも完全なデマだ。そもそもドライブスルー検査は、スピーディに大量の検査をするためだけに導入されたものではない。一義的には、患者同士の接触を避け医療従事者との接触を最小限とすることで、感染を防止できるというのが最大のメリットだ。ようするに、厚労省はドライブスルーの意義さえ理解していなかったのである。
しかも、厚労省のこのスタンスは、ドライブスルー検査導入に踏み切ったいまも、まったく変わっていない。
4月17日放送の『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日)では、ドライブスルー導入が遅れた理由について、厚労省関係者のこんなコメントを報じていた。
「(最初に始めた)韓国のドライブスルー方式は感染防御対策が不十分に見えた」
「しかし、その後にアメリカが感染防御策をグレードアップしたのを参考に(日本でも)十分対応可能になったと判断した」
PCR検査不足により多数の院内感染を引き起こしている元凶の厚労省が「感染防御対策が不十分」などと上から目線によく言えたものだというのもあるが、それ以上にひどいのは、韓国のドライブスルー検査は参考にできないが、アメリカのドライブスルー検査なら参考にする、という論理だ。アメリカにしても、ドイツにしても、韓国のコロナ対策を「手本」と公言しているのに、一体何を寝ぼけたことを言っているのか。「アメリカがグレードアップした」というが、アメリカと韓国の感染状況を客観的に比較すればどちらがより封じ込めに成功しているかは明らかではないか。
ようするに、厚労省は客観的事実や科学的裏付けとはまったく関係なく、“韓国の成功事例”だからドライブスルー検査を拒否し続けてきたのだ。
この背後にはおそらく、安倍政権全体を覆う嫌韓意識がある。安倍首相はじめ、政権幹部の韓国ヘイト体質はいまさら説明するまでもないが、それは官僚にも広がっている。たとえば、昨年3月には厚労省の賃金課長が韓国の空港で「I hate Korean! I hate Korean!」(韓国人が嫌いだ! 韓国人が嫌いだ!)と差別暴言を吐き、空港職員に暴行をはたらき、身柄拘束されるという事件を起こしている。
つまり、政治家や官僚がこうした差別意識に支配された結果、コロナ対策に関する正しい客観的評価を妨げてきたのではないか。「韓国のやっていることが日本より優れているはずがない」「韓国が正しいことをしているはずがない」「韓国のことは死んでも認めたくない」……。
実際には韓国で感染者数がピークアウト、医療崩壊など起きていなかったことが明らかになり、世界各国が韓国の対策を成功例として手本にするようになっても、厚労省は、自らの失態を糊塗し、韓国に対する高評価という現実を認めようとしなかった。
その結果、コロナ対策にこれだけの差が出てしまったのだ。韓国で国内初の感染者が確認されたのは1月20日で、TBSの報道によると、発熱外来(選別診療所)が設置されたのはそのわずか2日後の1月23日、ドライブスルー検査を始めたのは2月26日のこと。対して日本では、国内初の感染者が確認されたのは1月15日とほぼ同時期だが、発熱外来は一部地域で取り入れられているものの厚労省が「地域外来・検査センター」の導入を都道府県に連絡したのは4月15日、ドライブスルー検査を厚労省が推進し始めたのも4月15日。実に、2カ月遅れ、3カ月遅れという有様だ。