テレビ朝日は”韓国の感染防御対策は不十分”との厚労省関係者コメントを報道
あまりに遅すぎだろう。厚労省が、4月15日になって、ようやくドライブスルー検査を「可能」と認め、導入を推進するよう自治体に通知を出したのだ。
いったい、なぜこんなに遅くなってしまったのか。ひとつには、長らく指摘され続けている、PCR検査の抑制という馬鹿げた方針によるものだろうが、もうひとつ大きいのは「嫌韓」という差別意識だ。
周知のように、新型コロナウイルスをめぐるドライブスルー検査は韓国がいち早く始めたもの。韓国は、積極的な検査によって感染者を見つけ出し隔離するという戦略が功を奏し、感染拡大の封じ込めに成功している。最近では新規感染者は1ケタの日もあり、世界各国が、韓国の対策を成功例として手本にしている。
そのなかでドライブスルー検査は、スピーディに検査できるうえ、医療従事者への感染や院内感染の危険も避けられることから、高い評価を得ていた。韓国の封じ込め成功にならって、ドイツ、アメリカなど世界各国で導入されている。
ところが日本では、つい最近まで、このドライブスルー検査をあたかも医療崩壊の象徴のように、バカにしまくっていた。
韓国で感染者数が増加していた時期、ワイドショーでは、日ごとに増える韓国の感染者数をセンセーショナルに報じ「医療崩壊が起きている!」と、上から目線で見下すように報じていた。なかでも、ドライブスルー検査については、ほとんどの番組が、実際には医療崩壊は起きていないにもかかわらず、まるで韓国の“杜撰医療”“感染拡大の温床”のようにバカにし、“医療崩壊”の象徴として嘲笑していたのだ。
現在の感染状況を見れば、日本は検査をしていなかっただけで、水面下では韓国以上に感染が拡大していた可能性が高いが、参考にするどころか、ただただ韓国を見下して楽しむ、ワイドショー定番の嫌韓ネタとして消費されただけだった。
ところが、その後、世界の多くの国が韓国のドライブスルー検査の有効性を認め、導入するようになると、メディアはドライブスルー検査の話題そのものをなかったことにして無視。取り上げるメディアも、ドイツなどほかの導入国の成功事例として紹介するケースが圧倒的に多かった(最近になって、さすがに韓国が感染抑え込みに成功していることをふれざるをえなくなっているが)。
しかも、この姿勢はメディアだけの問題ではなかった。客観的事実に基づいて科学的に感染対策を考えるべき厚労省までもが、こうした嫌韓感情に基づいて動いていた。
象徴的なのが、厚労省によるデマツイートだろう。ドライブスルー検査をめぐって、厚労省アカウントは、3月15日にこんなツイートをしていた。
〈#新型コロナウイルス「ドライブスルー方式」のPCR検査を実施しない理由について】「ドライブスルー方式」のPCR検査が、いくつかの報道で紹介されています。〉
〈新型コロナウイルス感染症にかかっているのではないかと心配される方が、PCR検査を受けるためには、医師の診察が重要です。「ドライブスルー方式」では、医師の診察を伴わないことが多いため、我が国では、実施しておりません。〉
当時本サイトでも批判したが(https://lite-ra.com/2020/03/post-5313.html)、この厚労省のツイートは、デマだ。
〈「ドライブスルー方式」では、医師の診察を伴わない〉というが、韓国では、まず感染の疑いがある人は無料で検査でき、それ以外の人は16万ウォン(約1万4000円)かかるという振り分けがある。また仁川(インチョン)の「ドライブスルー選別診療センター」について報じた「WoW!Korea」(2月17日付)でも、〈選別診療センターでは、入口(受付)→問診票作成→体温測定→医者による診療→検体採取→出口(検査結果の通知案内文)などの検査過程が車両内に搭乗した状態で実施される〉と紹介しており、医師による診断をしたうえで検査をしている。韓国以外の国でも多くが医師による判断のうえで検査をおこなっている。