「4日間待て」ルールは専門家会議でまとまっていなかったのに加藤厚労相が無理やり発表した
しかし、「4日待て」ルールにしても、「PCR検査抑制方針」にしても、こうした専門家だけの責任ではない。
たとえば、「4日待て」ルールは、最初、専門家会議というより加藤勝信厚労相が主導して、発表した形跡がある。
安倍首相が専門家会議を設置したのは、国内初の感染者が確認されてから約1カ月後の2月14日、初会合が開かれたのは同月16日。その翌日の17日、加藤厚労相が記者会見で「風邪の症状や37.5度以上の発熱」「強いだるさや息苦しさがある」といった症状が4日、重症化のリスクのある人は2日続いた場合という「相談・受診の目安」を発表した。
時系列だけを見ると、これは前日の専門家会議の初会合で決定され、それを加藤厚労相が発表したかに見える。実際、専門家会議の冒頭で安倍首相は「国民のみなさまにわかりやすい受診の目安の作成などについて議論をお願いしたい」と述べ、この初会合の議事概要には〈普通の風邪だと症状のピークは3~4日だが、新型コロナウイルス感染症では7~10 日でも治らない。“普通の風邪”とずれていると気づけるような内容があるといい〉〈風邪の症状があれば自宅で安静にして、症状が長引けば相談センターに連絡してもらうという流れが望ましい〉といった意見が記載されている。
しかし、この初会合の結果を伝えた読売新聞によると、じつは初会合では、〈受診や相談の目安を示す予定だったが、専門家の間で議論がまとまらなかった〉というのだ(2月17日付)。
議論がまとまっていなかったというのに、なぜ、加藤厚労相は17日に目安を発表したのか。ようするに、専門家会議で異論が出たにもかかわらず、政府がPCR検査を抑え込むために押し切った可能性が高いのではないか──。実際、加藤厚労相は17日の会見で、目安について、専門家会議の正式な見解という言い方をせず、「最終的に専門家の座長と相談してこういう数字を決めさせていただいた」と説明していた。
いずれにしても、この「4日間待て」ルールは加藤厚労相が発表したものであり、最終責任は加藤厚労相、そして、その任命権者である安倍首相にあるといっていいだろう。
お粗末な検査体制も同様だ。安倍首相は2月29日の記者会見では「すべての患者が検査を受けられる十分な検査能力を確保する」と国民に約束していた。ところが、それはまったく守られていない。3月14日の会見ではPCR検査について「3月中に1日当たり8000件まで検査能力が増強できる見込み」、4月6日の会見では「検査実施数を1日あたり2万件に増やす」と宣言したが、厚労省の資料を見ても、1日8000件を超えたのは4月9日になってから。いまだ8000件台を推移しており、1日2万件にはほど遠い。