共同通信は会見からの締め出しに怯えたのか コロナ対策よりメディア圧力の安倍政権
また、西村サイドは共同に、発言の訂正だけではなく、書き加えまでさせている。それが〈国が自治体向けに創設する1兆円の臨時交付金の使途について、東京都が休業要請に応じた事業者に支払う協力金のような活用ができるか「これから考えたい」と述べ、選択肢として検討する姿勢を示した〉という部分だ。
「共同の当初の記事は、知事たちが休業要請に基づく補償を求めたのに西村大臣が拒否したことが中心の記事だったため、気に入らなかったんでしょう。おそらく『切り取りだ』とかなんとかいって、臨時交付金の活用への検討を口にしたことを加えさせたんじゃないか。西村大臣が知事たちとのテレビ電話会談や会談後の会見で語ったのは『これから考えたい』というだけのもので、とても記事にできるレベルじゃなかったんだが……」(前出・全国紙政治部記者)
権力者が口にしたどの部分をクローズアップするかは、それこそ報道の自由。これまた、イチャモンのレベルと言っていいだろう。
しかし、だとしたら、共同通信はなぜこんな圧力に屈して記事を改ざんしたのか。
「実はうちの経済部は、経産省記者クラブで世耕弘成氏を経産大臣時代に怒らせて会見から締め出されたことがあり、それがトラウマになって、政権にかなり弱腰になっているんです。今回も、会見からの締め出しに怯えたんじゃないでしょうか。西村大臣の会見に出られなくなったら、コロナの経済政策の動きがまったくわからなくなると、理不尽な要求を呑んだとしか思えない」(前出・共同通信関係者)
この緊急時に取り組まなければいけない課題が山ほどあるのに、イチャモンレベルの抗議やメディアへの圧力に必死な政府と、その言いなりになるメディア。その結果、国民は真実が知らされないまま捨て置かれる。安倍政権下で進行してきた「報道の自由」の崩壊が、コロナ禍でさらなる危機を生み出していると言っていいだろう。
(編集部)
最終更新:2020.04.19 11:59