『バイキング』では坂上忍が「埋もれさせちゃいけない」「こんな国になってたのか」
しかも、このように笑いながら答弁したことに批判が集まったというのに、前述した翌24日の参院財政金融委員会でも、安倍首相は「(改ざん前文書にかかれていた)『いい土地ですね』というのは、私の妻が言ったわけではなくて(笑)、籠池さんがそう言っている」と、笑いまじりで答弁したのだ。
たとえ籠池泰典理事長(当時)が言ったことだとしても、近畿財務局の文書には昭恵夫人の名前がここで登場し、さらには籠池夫妻と昭恵夫人のスリーショット写真という証拠もこのとき近畿財務局には提示されている。そのことで実際に赤木さんは改ざんを強要されたというのに、安倍首相は笑いながら話すことで「昭恵は関係ない」とごまかそうとしたのである。
ようするに、安倍首相は自分の答弁が改ざんのきっかけになったことも、名誉校長だった昭恵夫人が国有地取引に影響を与えたことも「あるはずがない」と印象づけるべく、ヘラヘラと笑うことで余裕があるように演出しているだけなのだ。赤木さんから命を奪ったのは、こうした安倍首相の「絶対に謝らない」「自分の責任は認めない」「責任は下の者に押し付ける」という一貫した態度にあることは言うまでもないだろう。
さらに、この無責任総理をアシストしてきたのが菅義偉官房長官だが、菅官房長官も信じられないようなことを言い放った。24日の定例会見で、赤木さんの妻が23日に出した2度にわたるコメントについて「どう感じたか」と東京新聞の望月衣塑子記者が追及したのだが、菅官房長官の返答は「私自身は聞いておりません」、たったこれだけ。「聞いていない」というだけでなかったことのようにしているのだ。
これがどれだけ恐ろしいことか。赤木さんが遺した遺書と手記をきっかけに、少なくない国民が気づきはじめている。
たとえば、24日放送の『バイキング』(フジテレビ)では、河井案里参院議員と前法相の河井克行衆院議員の公選法違反疑惑問題を取り上げたのだが、そのなかでMCの坂上忍は「各局、新型コロナウイルスのニュースばかりで、ただ、森友問題しかり『再調査しない』と。こちらの問題も埋もれちゃいけないんですよね」とコメント。これを受けてコメンテーターのヒロミは「森友のやつもそうだけど、ああやって揉み消されてるっていうか『関係ない』って言われちゃうと、何か怖い国だなって感じちゃうよね」と話すと、坂上も「気がつくと、何かこんな国になってたのかって」と同調した。
命を賭けた告発さえ一顧だにせず、責任を認めない「怖い国」──。だが、「怖い国」と言うだけでは、ますます我が物顔で権力を振りかざし、この国を好き勝手にすることを許すだけだ。そうさせないためにも、赤木さんの妻が求める「第三者による調査」を安倍首相が拒否できなくなるような大きな世論をつくってゆく。まずはこれしかない。
(編集部)
最終更新:2020.03.25 09:34