トランプやジョンソンすら手厚い現金給付を打ち出しているのに…安倍政権で日本は世界一の自己責任国家に
そもそも、大前提として、消費増税後の2019年10〜12月期の国内総生産(GDP)は年率換算でマイナス7.1%となり、東日本大震災の影響を受けた2011年1〜3月期のマイナス6.9%を上回る数字を叩き出している。新型コロナの影響が一切ない時点で、すでに日本経済は消費増税によって大打撃を受けている状態であることを踏まえれば、消費税率の引き下げは必須だ。
だが、安倍政権は消費税率を見直す気もなく、さらには一律の現金給付も見送り、生活困窮者になんの助けにもならず消費刺激策にもならない外食・観光限定の「商品券」を配ろうというのである。安倍首相は14日に開いた会見で具体的な経済政策を発表せず、「一気呵成にこれまでにない発想で思い切った措置を講じる」と威勢のいい言葉だけを発したが、時間を浪費した上に、これのどこが「思い切った措置」だというのだろう。
しかし、これではっきりとしたのは、安倍政権下のこの国は「世界一の自己責任国家」であるということだ。
実際、新自由主義の先輩であり、安倍首相と同じように国民の命を軽視していると思われるアメリカのトランプ大統領やイギリスのボリス・ジョンソン首相でさえ、こんな空疎な政策を打ち出してはいない。
たとえば、アメリカでは現在検討している現金給付案は、ムニューシン財務長官が19日にあきらかにしたところによると、4人家族で3000ドル(約33万円)にもおよぶ。「緊急事態宣言」が長引いた場合、これを4月と5月の2回おこなう予定で、合計で約66万円となる見通し。法案が可決されれば3週間後には小切手を送るという。
また、イギリスでは、〈国内企業が従業員の雇用を維持した場合、従業員の給与の8割、1人あたり月額最大2500ポンド(約33万円)を政府が補助する〉とスーナック財務相が発表(BBC NEWS21日付)。これは当然、レストランや劇場などの閉鎖措置にともない仕事ができなくなった人に対しても適用される。スーナック財務相はこのとき、国民にこう呼びかけている。
「職を失うかもしれないと大勢が心配しているのは承知している。家賃や住宅ローンが払えなくなると。食費が払えなくなる、色々な請求が払えなくなると。(中略)いま自宅にいて、将来が不安な皆さんにはこう申し上げます。あなたは決して独りではないと。自分だけで何とかしなくてはならないとは思わないでください」
かたや日本は、一律の現金給付を「貯金に回る」などと言って見送ろうとし、大規模イベントの自粛を主催者の判断に任せることで責任も補償も回避している上、雇用維持のための賃金や休業手当も雇用調整助成金の枠を広げただけだ。先日のK-1騒動もそうだが、補償の不十分さ、営業やイベント自粛などをしづらくさせ、感染拡大を後押ししている面もある。