“嫌韓”厚労省はドライブスルー検査を最初に導入した韓国を認めたくない
だが、この過剰な「ドライブスルー検査」攻撃にはもうひとつ原因があるような気がする。それは、安倍政権全体に浸透している嫌韓意識だ。
上述のように、当初韓国のドライブスルー検査が日本で紹介されたときは、もっぱら嘲笑する嫌韓ネタのひとつとしてだった。検査拡大要望を訴える声に対して、「韓国は積極的に検査を行った結果、医療崩壊した」などとバカにして、検査抑制論の材料として使っていた。ところが、実際は、韓国で医療崩壊は起きておらず感染者数はピークアウトしつつあり、欧米各国も韓国の対策を参考にし始めた。厚労省は、自らの失態と韓国に対する高評価という現実を認めたくないのではないか。
安倍政権の韓国ヘイト体質はいまさら説明するまでもないが、それは官僚にも広がっている。たとえば、昨年3月には厚労省の賃金課長が韓国の空港で「I hate Korean! I hate Korean!」(韓国人が嫌いだ! 韓国人が嫌いだ!)と差別暴言を吐き、空港職員に暴行をはたらき、身柄拘束されるという事件を起こしている。
マスク問題にしても、日本で感染が確認されるまえ、多くのニュースやワイドショーは中国で人々がマスクを買いに走っている姿を上から目線でバカにしながら報じていたが、そのときから日本でのマスク不足の可能性を予測し対策を打っておくべきだったのだ。
中国の“全体主義監視国家”まるだしの監視システムを駆使した封じ込め策を真似しろとはまったく思わないが、韓国の検査拡大と徹底した情報公開による感染拡大食い止めは大いに学ぶところがあるだろう。
それが醜い嫌韓意識によって、できないというなら恐るべきことだ。レイシズムのために、取り入れるべき対策を取り入れることができず、国民の命と健康が危機にさらされることになる。
今日ネット上では、フランスの厚労相が、コロナウイルス感染者はイブプロフェンを服用しないほうがよいと述べたというニュースが話題になっていた。(このフランス厚労相によるイブプロフェンに関する情報については、否定的な見解もある。16日追記)
日本の厚労省も、SNSを自らの失態隠しや差別意識に基づいた情報操作や、批判メディア叩きに使う暇があったら、こうしたきめ細かい情報発信をするべきだろう。
(編集部)
最終更新:2020.03.16 08:58