岩田教授を追い出した橋本岳厚労副大臣は厚労省のデータ捏造問題でも暴言と恫喝
乗客やスタッフの健康を無視した硬直した官僚的対応に呆れるしかないが、この岩田氏を追い出した「厚労省トップ」の正体が程なく明らかになった。自民党所属の橋本岳・厚労副大臣が岩田氏のYouTube動画に対して、こんな反論をツイートしたのだ。
〈なお昨日、私の預かり知らぬところで、ある医師が検疫中の船内に立ち入られるという事案がありました。事後に拝見したご本人の動画によると、ご本人の希望によりあちこち頼ったあげくに厚生労働省の者が適当な理由をつけて許したとの由ですが、現場責任者としての私は承知しておりませんでした。〉
〈お見掛けした際に私からご挨拶をし、ご用向きを伺ったものの明確なご返事がなく、よって丁寧に船舶からご退去をいただきました。多少表情は冷たかったかもしれません。専門家ともあろう方が、そのようなルートで検疫中の船舶に侵入されるというのは、正直驚きを禁じ得ません。〉
〈ただの感染症蔓延地域ではないのです。本件は厚生労働省本省に伝え、なぜこのような事案が発生したか確認を求めています。〉
橋本副大臣は岩田氏の建設的な提案に一顧だにしなかったばかりか、岩田氏が自分のあずかり知らぬところで船内に入ったことに激怒し、それだけを理由に追放してしまったのである。しかも、許可を得て臨時検疫官として船内に入っている岩田氏のことを「船舶に侵入」よばわりする始末だった。
実は、橋本副大臣は橋本龍太郎首相の次男だが、その傲慢な“俺様”ぶりは永田町でも有名。「働き方改革」法案をめぐる厚労省のデータ捏造問題でも、精緻に検証してデータの捏造を指摘した上西充子法政大学教授に対して、フェイスブックで「噴飯もの」などと攻撃し、謝罪に追い込まれている。
今回も同様だ。実は、ダイヤモンド・プリンセスの混乱と感染拡大についても、現場で指揮をとっている橋本副大臣や厚労省の硬直した姿勢に原因があるとの声が聞こえていた。
しかし、橋本副大臣はそのことを明らかにされたくないため、貴重な提言に耳を一切貸さず、逆に“部外者”である岩田氏を追い出し、YouTube動画に対してあんなヒステリックな反応を示したのだ。ようするに、橋本副大臣らは船内の混乱と感染拡大をなかったことにするため、事実や情報を隠蔽しようとしているのだ。
しかし、この姿勢は、橋本副大臣だけでなく、安倍政権の新型コロナ対応全体に共通する問題だ。何の効果もなかった水際作戦を自画自賛し、実際はすぐに検査体制が敷けるのに、虚偽の理由をもちだして検査を限定し、まるで国内感染者を低く見せたいのかと言いたくなるような工作にいそしむ。
岩田氏はYouTube動画のなかで、こと感染症については、SARSのときの中国より情報公開ができていないとしたうえ、今回、YouTubeでの告発に至った理由をこう語っていた。
「このことを日本のみなさん、あるいは世界のみなさんが知らぬままになっていて、とくに外国のみなさんなんかはそうやって、かえって悪いマネジメントでずっとクルーズの中で感染のリスクに耐えなきゃいけなかったということですね。やはりこれは、日本の失敗なわけですけど、それを隠すともっと失敗なわけです。
たしかに『マズイ対応であるということがバレる』っていうのはそれは恥ずかしいことかもしれないですけど、これを隠蔽するともっと恥ずかしいわけです。やはり情報公開は大事なんですね」
わたしたちは、生命の安全のために不可欠な情報すら公開されない、とんでもない体制の国で生活していることをもっと自覚する必要がある。
(編集部)
最終更新:2020.02.19 06:19