27日衆院予算委員会での安倍首相(衆院TVインターネット審議中継より)
本日、安倍首相入りの衆院予算委員会がようやく開かれた。なんと、安倍首相が一問一答で国会審議に応じるのは、共産党・田村智子議員の追及で「桜を見る会」問題が一気に注目を集めることになった昨年11月8日以来のこと。つまりこの間、「桜を見る会」問題をはじめとして一方的な主張しかしてこなかったのだが、ついに直接追及のやりとりがおこなわれたのだ。
だが、それでも安倍首相は無責任な答弁に終始。たとえば、自民党・小野寺五典・元防衛相から憲法改正について質問を受けた際には、「私が自民党総裁として一石を投じた考えは」などと前置きして自衛隊の9条明記について語ったのに、一方、野党議員から河井案里議員の選挙戦における「安倍マネー1億5000万円投入」問題を追及されると「私は総理大臣としてここに立っているので自民党総裁としての答えは差し控えたい」などと言い出した。
憲法改正の話は「自民党総裁として」雄弁に語りながら、都合が悪いと「総裁としての答えは控える」……。とんだ二枚舌だが、安倍首相がもっともヒートアップしたのは、やはり「桜を見る会」問題の追及。しかも、「野党はデマを飛ばした!」と口角泡を飛ばして野党批判をはじめたのだ。
それは、立憲民主党・黒岩宇洋議員の質疑中に起こった。黒岩議員が「桜を見る会」の前日に安倍晋三後援会がおこなってきた「桜を見る会前夜祭」問題について追及すると、答弁に立った安倍首相がこんなことを言い出した。
「あのー、最初に委員が発表された見積もりのなかには、久兵衛のお寿司を出しているということを、黒岩委員がTwitter、ネット等でですね、広められて、それで報道がなされたわけでございますが、私もそれ見てびっくりしたんですが、果たしてどうなのかと思ったら、これ、久兵衛さんがですね、『そんなことはない』と大変お怒りだったというふうに伺っているところでございます」
「久兵衛が出していないということを黒岩委員がはっきりとおっしゃっていただかないとですね、それをまだ信じている人がいるわけでありまして、まさにみなさんの主張の一部ではなかった(のではないか)」
「黒岩さんも間違われたのであれば、間違ったとはっきりおっしゃったほうがいいのではないか」
「黒岩さんが流布された、まさにデマについてはですね、でもこれは重要なことですよ?」
「(久兵衛のお寿司を出していたということは)それはまったくのデマだった」
「前夜祭」についてホテルニューオータニで参加費が1人5000円というのは安すぎると追及されているのに、突然、安倍首相は「銀座久兵衛」の寿司がふるまわれていたという野党が指摘していた問題を持ち出し、「野党はデマを流した!」「デマを解消しろ!」とがなり立てたのである。
たしかに、安倍首相が言うように、昨年11月15日に「銀座久兵衛」の主人・今田洋輔氏が産経新聞の取材に応じ、「うちの寿司は出していない。過去何年も調べたが、出ていなかった。報道は間違いだ」とコメント。ネトウヨたちはこぞって「野党はデマを流した!」と喧伝し、安倍応援団員のひとりである自称文芸評論家の小川榮太郎氏も、夕刊フジの公式サイト・zakzakで「久兵衛のすしは出ていない。完全な誤報である」(2019年11月18日付)と攻撃。同サイトでは〈「偽メール事件」を思い出す〉などと書き立てていた。
だが、はっきり言ってこの「久兵衛の寿司」問題はデマなどではない。
というのも、「前夜祭」で寿司がふるまわれていたことは、参加者の証言などからも確認されているうえ、昨年11月24日放送の『サンデーステーション』(テレビ朝日)で、ニューオータニの関係者が「一般論として宴会でニューオータニ内の久兵衛以外のすしを提供することは基本的に認めていない」と証言しているからだ。