行政文書じゃないから国会議員の資料請求にも応じる必要ない、と言い出した菅官房長官
メモを受け取っても、結局回答は「行政文書じゃない」の一点張り。この説得力ゼロの回答を受けて、朝日新聞のアベ記者が「バックアップデータを利用できないのであれば、何のためにバックアップを取っているのか。データとはいつでも復旧できるために保存……」と質問したのだが、菅官房長官は最後まで質問を聞き終わらないうちに、食い気味に「それはものによって違う」と言い放ったのだった。
さらに、5 日午前の会見で菅官房長官は「国会議員からの資料要求については、その対象が行政文書であることを前提として、個別に対応している」と断言。ようするに、国会議員からの資料要求は行政文書でなければ対応する必要がないとも受け取れる発言をしはじめたのだ。
言っておくが、国会法104条には〈各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない〉とあるだけで、行政文書かどうかは定められていない。だが、菅官房長官は「資料要求がおこなわれた場合については、各省庁が保有する行政文書で対応する。これが政府の方針で、それに基づいて対応している」と言い張ったのである。
これにはまたも毎日新聞のアキヤマ記者が食い下がり、「政府の方針というのは何かの法律、ガイドラインに基づいてなされているのか。それとも政府の恣意的な運用なのか」と質問したが、菅官房長官は「行政文書について、責任を持って対応するのは政府の役割だと思う。政府の役割は行政文書についてだ」などとまったく回答になっていない回答を述べただけだった。
ようするに、「バックアップデータは行政文書ではない」「政府が国会議員から要求されて対応するのは行政文書であることが前提だ」と主張しながら、その根拠となる法律やガイドラインを示せと言われてもそれにはまったく答えていないのだ。
この主張に則ると、今後、都合の悪い文書はすぐさま破棄され、バックアップデータが残っていても開示されることはなくなってしまうし、行政文書以外は何も明らかにされなくなる。いや、こんな詭弁が通用するのなら、行政文書の範囲も恣意的な解釈でどんどん狭められてゆくだろう。それぐらい、菅官房長官の言い分は危険なものなのだ。