菅官房長官が恐れるのは「反社勢力の招待」より「首相枠の異常な多さ」の発覚
それにしても、菅官房長官はなぜ、こんな支離滅裂な論理を押し通してまで、招待者名簿を出せないように必死になっているのか。これは逆に言うと、招待者名簿を出すことが致命傷になると恐れている証拠だろう。
では、致命傷とは何か。もちろん誰が反社会的勢力を招待していたかがはっきりするということもあるだろうが、菅官房長官がもっとも恐れているのは、「総理・昭恵枠」の招待数問題ではないか。
菅官房長官は11月20日の衆院内閣委員会で「総理・昭恵枠」が約1000人だと答弁したが、これも大嘘で、実際の「総理・昭恵枠」はもっと数が膨大なのではないかという疑いがある。
実際、「桜を見る会」招待者に送られた受付票に印字された「60」が「総理・昭恵枠」を示す招待区分であることがわかっているが、その数字と合わせてさらに4桁の番号が振られている。もし、この4桁の番号が招待者ひとりひとりに割り振られた番号だったすれば、「総理・昭恵枠」は1000人をはるかに超えるのだ。実際、いま問題になっているジャパンライフの山口隆祥会長の2015年「桜を見る会」受付票に印字されていたのは「60−2357」。また、選挙で安倍首相が遊説をおこなうとかなりの頻度で目撃されている熱烈な支持者であるM氏という人物がSNS にアップしていた今年の「桜を見る会」の受付票には「60−4908」とナンバリングされている。
「総理・昭恵枠」は約1000人どころか、約5000人……。もちろん、ナンバリングの際に番号を飛ばしている可能性もゼロではないから、この数字がそのまま人数となるかどうか断定はできない。しかし、少なくとも、全体で招待者数が1万2800人だった2014年に「総理、長官等」の招待者数が「3400人」だったことは、内閣府の作成した仕様書で明らかになっている。2019年は、その全体の招待者数が1万5400人に増えているのだから、十分ありうる話だ。
そして、内閣府の招待者名簿があきらかになれば、「総理・昭恵枠」が実際は何人だったのかがはっきりとする。約1000人でも十分信じられないような「私物化」だが、これが5000人を超えるようであれば、もはや税金を使った安倍首相のためのイベントと化していたことが裏付けられると同時に、菅官房長官の「約1000人」という答弁が虚偽であることも明らかになってしまう。だからこそ、必死になって無茶苦茶な主張を繰り広げているのではないか……。
ともかく、この国の公文書管理をズタズタにしようとする菅官房長官の詭弁をこのまま看過することはけっして許されない。唯一の救いは、菅官房長官の回答に対し、毎日や朝日、北海道新聞の記者たちが何度も食い下がって根拠のなさを暴いていることだが、いかに菅官房長官が危険なことを口走っているのか、その「ヤバさ」をもっと広める必要があるだろう。
(編集部)
最終更新:2019.12.06 01:29