「バックアップデータは行政文書ではない」発言の矛盾を朝日と毎日の記者が徹底追及
だが、こうした菅官房長官の矛盾と無理がありすぎる噴飯モノの回答は、これにかぎった話ではない。
たとえば、5日午前の会見では、朝日新聞のアベ記者が「かつて南スーダンPKO日報問題があったが、防衛省が廃棄したと説明をしたあとに電子データが見つかり開示に転じた。こうしたケースを踏まえても、バックアップデータは行政文書の性格を持つのではないか」と質問。菅官房長官の説明の矛盾を突いたのだ。
しかし、この問いに対する菅官房長官は、こうだ。
「ご指摘の日報については廃棄されずに残っていた行政文書を開示した。バックアップデータはそもそも行政文書ではなく異なる事例だと思う」
いやいや、異なる事例なわけがあるか。廃棄されずに残っていた電子データを行政文書として情報開示したのだから、それとまったく同じ内容のバックアップデータも当然、行政文書であり情報開示に応じるべきだ。しかも、重要なのは、実際にバックアップデータが残っていた時期に共産党の宮本徹議員は招待者名簿を出すように求めていたのだ。バックアップデータが残っているにもかかわらず「すでに廃棄した」と答弁したことは、これは完全に議員の資料要求、国会を踏みにじるものではないか。
じつは、4日午前の定例記者会見でもこの点について、毎日新聞のアキヤマ記者がかなりしつこく問いただしていたのだが、菅官房長官は説得力のある説明を何ひとつ返せなかった。
毎日記者「情報公開請求の対象ではないとの解釈が仮に成り立ったとしても、国会議員の資料請求に対しても同様に応じる必要がないという見解か」
菅官房長官「いま私が申し上げたとおりのなかで、えー、情報公開の(スタッフからメモを受け取る)、まず公文書管理法に基づいて、保存期間1年未満の文書であるとして、あらかじめ決められたルール、手続きに従って廃棄している。また、詳細は事務方に聞いていただきたいが、行政文書の廃棄に関し、電子データについては通常、職員が共有フォルダから削除した時点で行政機関として廃棄をおこなったものという考えに基づき、答弁をしたものと聞いている。いずれにしろ公文書ではなく、行政文書でもないということ」
毎日記者「ちょっとあの質問に答えていただけていないのだが、私が聞いたのは、国会議員の資料請求に対しても応じる必要がないとの認識なのか」
菅官房長官「ですから、あのー(スタッフのほうをチラ見)公文書でなかったということだから、そうだというふうに思う」
毎日記者「ちょっといまのご答弁は、国会の個々の議員の行政に対する監視にも関わることだと思う。その段階では少なくとも(バックアップデータは)行政の管理下にはまだあったわけで、それならば最大限努力してきちんと資料を提供するのが行政としての義務ではないのか」
菅官房長官「いま申し上げましたけど、そういう対応というよりも、いま申し上げましたように(メモを受け取る)行政文書には該当しないと考えた前提で適切に対応したと思う」