前夜祭の資料提供について「営業の秘密にかかわる」とホテルを代弁した安倍首相
安倍首相はまるでホテルの代弁者のように「営業の秘密にかかわる」などと主張したのである。以前から指摘してきたように、安倍官邸とホテルニューオータニ側との間で口裏合わせができてしまっているというわけだが、しかし、「営業の秘密」などが公開拒否の理由になるはずがない。いや、むしろ「営業の秘密」がそこにあるのなら、ニューオータニには公開する必要がある。
というのも、もし実際は1人1万1000円以上の費用がかかるところを、安倍首相には特別にはからって1人5000円にサービスしていたとしたら、それはニューオータニから「安倍晋三後援会」への寄附にあたり、政治資金規正法で禁じられている企業献金をおこなったことになる。さらには政治家に対する利益供与、贈収賄の疑いも出てくるからだ。それを「営業の秘密」などと言っているのなら、これだけで早急に捜査のメスを入れるべき理由になるだろう。
このようにホテルに責任をなすりつけようという姿勢も見苦しいものだが、しかし、安倍首相はもっと信じられない責任転嫁をおこなった。
それは、「桜を見る会」招待者名簿を、野党から資料要求があった5月9日に、しかも資料要求の約1時間後に破棄していた問題での答弁だ。
すでに野党の追及によって、内閣府が文書破棄のために大型シュレッダーを予約したという4月22日から5月9日までのあいだには、ゴールデンウィークの連休日以外でシュレッダーには空き時間が大量にあったことがわかっているのだが、安倍首相はきょうの答弁でこう述べたのだ。
「本年の招待者名簿についても、廃棄をおこなうための大型シュレッダーの予約を4月22日におこない、その際、シュレッダーの空き状況や、担当である障がい者雇用の短時間勤務職員の勤務時間等との調整をおこなった結果、使用予定日が5月9日となったことから、その予定どおり廃棄したものであり、野党議員からの資料要求とはまったく無関係であるとの報告を受けております」
シュレッダー担当が障がい者雇用で短時間勤務だから空き時間に使用できたわけではない──。野党から資料要求があった約1時間後に破棄されるというのは天文学的な確率の偶然であり、どう考えても情報隠蔽をしたとしか考えられないのに、安倍首相はその言い訳に障がい者雇用の職員の勤務事情を持ち出したのである。まったく下劣にもほどがあるだろう。
しかし、「招待者名簿は破棄された。招待者の詳細はわからない」で言い逃れできるはずがない。安倍首相はきょうの答弁で、内閣府が採用しているシステムが「シンクライアント方式」だとした上で、「サーバーのデータを破棄後、バックアップデータの保管期間を終えたあとは復元は不可能であるとの報告を受けている」と述べたが、ネット上では「本当に破棄したのか」「復元できないはずがない」といった声が高まっている。
きょうの答弁をもって安倍首相は臨時国会での追及を逃げ切り、国会閉会後は外遊という名の高飛びをする予定でいるらしいが、ジャパンライフの被害者に対する説明責任を放棄し、障がい者雇用の職員にまで責任転嫁するという“人でなし答弁”で幕引きさせるわけにはいかない。メディア、野党は今後も徹底追及すべきだ。
(編集部)
最終更新:2019.12.02 08:49