小泉政権で始まった自己責任論は安倍政権で自然災害被害者にまで広がった
なぜ、日本ではこのような劣悪な環境が当たり前のように放置されているのか。そして、その劣悪な避難所にすら、「税金を納めている人間以外入れるな」というグロテスクな考え方が広がっているのか。
背景にあるのは、明らかに小泉首相から始まり、安倍政権で拍車がかかっている新自由主義政策、そしてその政策が生み出した弱肉強食的な価値観と自己責任論だ。
自由競争を野放しにして格差、貧困を広げる一方で社会保障を「自己責任」として切り捨てるこの方針は十数年で、様々な制度に反映され、国家が公的責任を逃れ、個人にすべての責任を押しつける傾向を助長させてきた。
しかも、安倍政権はさらにそれをエスカレートさせ、生活保護受給者やホームレスだけでなく、自然災害の被災者にまで、自己責任を押し付けるようになっている。
たとえば、昨年3月に内閣府防災担当が出した「避難勧告等に関するガイドライン改定」の冒頭に〈「自らの命は自らが守る」意識の徹底〉が謳われている。警報を出すが、出したあとは、自己責任でやってくれ、ということだ。
また先月、福島県議会が、東日本大震災・福島原発事故での自主避難者に無償提供していた国家公務員宿舎からの退去を求め提訴する議案を可決したが、被災者をまるで“不法占拠者”のように扱うこの措置の背景にも政府・財務省の意向があったことがわかっている。
これはおそらく、安倍首相の思想、体質がもろに反映されたものだろう。本サイトでも繰り返し指摘しているが、安倍首相は、大災害が起きても、平気でお友達と会食をしたり、ネトウヨネット番組に出演したりという、被災者をないがしろにする行動を繰り返してきた。そして、先の台風15号では関係閣僚会議も開かず、総理指示も出さず被害を拡大させ、今回の台風19号でも、13日夕方、まだ被害が拡大し、救出作業が続いているのに、とっとと私邸に帰り、ラグビー観戦。日本代表の勝利に大はしゃぎして、〈台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる〉などと、台風被害を過去のもの扱いするツイートを投稿した。
何度批判されても迅速な災害対応がとれず、相変わらずこういう態度を続けているというのは、安倍首相自身が「自然災害も自己責任なのになんで国が面倒を見なきゃいけないのか」と考えているからだ。