世耕経産相はヘイト雑誌「月刊Hanada」に登場し、櫻井よしこと意気投合
このとき河野外相は1965年の日韓請求権協定により徴用工問題が「完全かつ最終的に解決」したと言いたかったようだが、しかし、それはあくまで国家間の問題であり、個人の請求権は消滅していないというのが、日本政府の見解だったのだ。
実際、1991年に参院予算委員会で柳井俊二外務省条約局長(当時)が「完全かつ最終的に解決」したとする意味について「日韓両国が国家として持っている外交保護権を相互に放棄したということ」であるとし、「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません」と答弁している。
いや、そもそも河野外相自身も、昨年11月14日の衆院外務委員会で「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございませんが」と述べている。ようするに、個人の請求権を消滅させることはできないというのが日本政府の見解であることを認めながら、「徴用工問題は解決した」「国際法違反だ!」とがなり立てて、ついには「歴史は書き換えられない」などと言い出したのである。
常識的に考えて、戦争加害国の外相が被害国に対してこんな暴言を吐けば、相手国が猛反発するのは当たり前のこと。ようするに、河野外相はわざと韓国を怒らせようとしているとしか思えないのだ。
だが、そうやってわざと韓国の反発を誘発して、日韓関係をよりこじらせようとしているのは、河野外相だけではない。河野外相と同様に信じがたい言動に出たのは、世耕弘成経産相だ。
なんと、世耕経産相は8月26日に発売された「月刊Hanada」(飛鳥新社)10月号に登場。対談相手である櫻井よしこ氏が「感情的になっている韓国」と述べると、「言っておかなければならないのは、「韓国がボールを持っている」ということです。あとは韓国がやるべきことをやるだけ」などと語っているのだ。
輸出規制の主務省庁である経産省のトップが、よりにもよって韓国ヘイトを垂れ流している極右雑誌に堂々と登場するとは──。それでなくてもいま韓国メディアでは、『真相深入り! 虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)による歴史修正や嫌韓ヘイト発言問題が取り上げられDHC商品の不買運動に発展しているように、日本の極右メディアに注目が集まっている。そもそも、安倍首相をはじめ閣僚たちがこぞってヘイト雑誌に登場すること自体が異常事態なのだが、この状況下で世耕経産相が「月刊Hanada」に登場するということは、“嫌韓ヘイト容認”の立場だと受け取られて当然だ。
もはや、どこまで韓国を怒らせられるかを競い合っているような様相だが、こうした河野外相や世耕経産相の態度は、当然、国内向けのアピール。ようするに、「韓国に強く出る俺」を国民に見せることが支持されると踏んでいるのだ。