第9回日中韓外相会議にも出席した河野大臣だが…(外務省HPより)
自国の政権の消費増税や経済停滞、外交の失態などはすっかり忘れて、嫌韓一色に染まった日本。メディアも「韓国は反日」なる言葉を躊躇なく連呼し、ついにはワイドショーのコメンテーターがヘイトクライムを煽動するという、ブレーキが効かない状況に陥っている。
だが、タガが外れているのは、メディアだけではない。恐ろしいのは、こういうとき時こそ冷静に対応し、事態を収拾に向かわせなければならない担当閣僚たちも安倍首相に「右に倣え」とばかりに、韓国に対して喧嘩腰で挑発を続けていることだ。
その代表とも言えるのが、河野太郎外相だろう。河野外相については、先月末、立憲民主党の枝野幸男代表がラジオ番組で、「(韓国側から)少し妥協の余地があるようなことがあったにもかかわらず、いわゆる『上から目線』、河野太郎外相の対応は韓国を追い込んだ。責任は大きい。外務大臣、代えるしかないですね。この日韓関係を何とかするには」「あまりにも顔に泥を塗るようなことばかりをやり過ぎた。相手のプライドを傷つけるようなやり方でやるのは、明らかに外交の失敗だ」と発言。安倍応援団やネトウヨから総攻撃を受け、その後、釈明して発言をトーンダウンさせたが、そんな必要はまったくなかった。
枝野氏が当初、指摘した通り、河野外相は韓国に対して明らかに常軌を逸した挑発的対応を取り続けている。
なかでも唖然としたのが、7月19日午前、徴用工訴訟をめぐって、南官杓駐日韓国大使を外務省に呼び出したときの態度だ。河野外相はまず、「国際法違反の状態をこれ以上野放しにせず、直ちに是正措置を」と韓国側の対応を「野放し」呼ばわり。そこで、南大使が日韓両国の企業の出資による問題解決案を韓国政府が日本側に提示したことに触れ、「韓国政府は両国関係を損なわせることなく補償が終結されるよう努力している」と説明し始めると、河野外相はいきなり怒り出し、大使の発言を遮って、こう怒鳴ったのだ。
「ちょっと待ってください! 韓国側の提案はまったく受け入れられるものでない。極めて無礼でございます」
そして、「これ以上は、マスコミが退出してから申し上げましょう」などと、大見得を切ったのである。
友好的に妥協策を説明している他国の大使に対して、「極めて無礼」と怒鳴りあげるとは、外務大臣の姿勢とは思えないが、実際、この河野大臣の態度については、外務省からも「やりすぎ」との声が上がり、安倍応援団の田崎史郎氏までが、政権内部から批判の声が上がっていると書いている。
さらに決定的だったのは、河野外相が8月27日の会見で、こんな発言まで口にしたことだ。
「韓国が歴史を書き換えたいと考えているならば、そんなことはできないと知る必要がある」
よくもまあ、こんなセリフが言えたものである。強制的な奴隷労働を強いた「徴用工」を「旧朝鮮半島出身労働者問題」と言い換えたり、日本軍「慰安婦」問題を国連で“朝日新聞の捏造”などと主張するなど、歴史を書き換えようとしているのは、国際的に見ても完全に安倍政権のほうではないか。