韓国に対して輸出管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」除外を政府が閣議決定した4日後の6日、安倍首相は広島での記者会見でさらなる関係悪化を招きかねない問題発言をした。
「(徴用工問題について)日韓請求権協定に違反する行為を一方的に行い、国交正常化の基盤となった国際条約を破っている」と指摘した上で、「日韓請求権協定をはじめ、国と国との関係の根本にかかわる約束をきちんと守ってほしい」「最大の問題は国家間の約束を守るかどうかという信頼の問題だ」と強調したのだ。
経産省などは表向き、「ホワイト国」除外が、徴用工問題に対する報復的措置ではないと説明しているのに、当の安倍首相自ら報復を示唆したわけで、韓国側の反発は必至。さらなる日韓関係悪化が懸念される発言といえる。
そんな対韓強硬路線の安倍外交を「小学生高学年並」「国益毀損」などと一刀両断、成熟した国として紳士的な対応を求めているのが、山本太郎・れいわ新選組代表だ。参院選の勢いをそのままに、日韓関係でも安倍外交のおかしさをズバリ批判する山本氏は、いまや野党陣営のリーダー的な論客として、枝野幸男・立憲民主党代表らと同等以上の存在感を示しているようにみえる。
閣議決定前日の8月1日の新宿街宣(記者会見)では、山本氏は聴衆からの日韓関係の質問に答える中で、安倍外交を「小学生高学年並」「ナショナリズムを煽るもの」などとズバリ指摘した。
「『日韓関係が悪化して喜ぶのは誰だ』ということです。アジア諸国に対してあまりいい感情を持っていない人たちがいるのは知っています。いろいろな思いがあるのがあるのは分かります。けれども『国の場所は動かせない』ということです。同じ町内に自分の苦手とする人がいて『我慢がならない』と引っ越しをすることは可能だけれども、国の位置は動かせないのでしょう。だとしたら、うまくやっていくしかないのです。 『舐められてたまるか!』『ぶっ潰してやれ!』というような小学校高学年くらいの考え方は止めましょうということなのです。誰も得をしない。
『これはうまくつき合った方が絶対に得なのだ』ということが言えるものをこれからご覧に入れます。(モニターの画面にデータを提示) 日本から韓国への輸出総額は6兆円(2.8兆円の貿易黒字)ですよ。この6兆円がなくなってもいいと思うなら、好きなことを言ってください。でも私は、そのような感情よりも6兆円という利益を大事にしたい」
山本氏は具体的なデータを提示して、対韓国輸出規制の弊害を説明し、韓国と「うまいことやる」の必要性を強調。こう続けた。
「皆さん、どうですか。ナショナリズムを煽りながら『あの国がどうだ、こうだ』とどんどん煽りながら、自分たちがやっている政治のマズさにベールをかける。内政の行き詰まりをナショナリズムを使って隠そうとする政治。まさに、今じゃないですか。うまくやるしかないじゃないですか。その利益(輸出額)が6兆円もあるんですよ。不当な扱いだというなら、国際社会を通じて訴え続けるしかない」
「これだけ大きな取り引きがお互いにされているということは、切っても切れない。 『(日韓関係を)うまいことやれや』ということなのです。うまいことやるつもりがないのなら、政治などやる必要がない」
さらに山本氏は、演説をこんな印象的なメッセージで締めくくった。
「(日韓関係を考える上で大切な)一番は何かというと、国益のためなのです。そのためには不用意な発言で2国間の間に、亀裂が入ることはしてはいけない。たとえ相手方が(不用意な発言を)したとしても、日本側はあくまでも紳士的に対処するというのが国際社会のルールです。日本は成熟した国なのでしょう。成熟した国ならば、そのような対応が必要だと思います」